ヴィクトリアズ・シークレットが崩壊!? 30人以上が証言した「悪質セクハラ」「無報酬ヌード撮影」の実態
アメリカはもちろん、日本にもファンが多かった米ランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」(以下、ヴィクシー)。一流モデルによる超豪華な『ヴィクトリアズ・シークレット・ショー』は年末の風物詩で、テレビ局でも放映される。2010年には視聴者数1,000万人を誇ったが、18年には300万人にまで低迷。19年に至っては、ショーそのものが中止となった。売り上げも16年をピークに減り続けている。
ヴィクシー低迷の一因といわれているのが、ブランドイメージと社会規範との離反。ありのままの自分の体を愛する「ボディーポジティブ」やさまざまな美を容認する「多様性」が世界的な盛り上がりを見せ、歌手リアーナが手掛けたランジェリーブランド「SAVAGE X FENTY」は、あらゆる体形の人に対応した“セクシー”を提案。人種やサイズなど多様なモデルを起用し、人気を博した。
一方で、スーパーモデルの登竜門ともなっているヴィクシーのショーに出演できるのは、トップモデルの中でも選ばれた者だけ。モデルたちは「下着が映える完璧なボディ」を目指して厳しいトレーニングやダイエットを行い、世界中の若い女性たちから羨望のまなざしで見られていた。が、その一方で「ヴィクシーは“男性が理想とする女性”しか認めていない。性差別的だ」という批判が高まっていた。18年11月に米誌「VOGUE」が、ヴィクシーの親会社「L・ブランズ」最高マーケティング責任者のエド・ラゼック(当時)の、「うちのショーはファンタジーを売りにしてるんだから、トランスセクシュアルのモデルなど起用しない」「プラスサイズモデルの起用にも、まったく興味がない」と断言するインタビューを掲載すると、「多様性ではないというより、極めて差別的」「ヴィクシーは差別の塊」と大バッシングされたのだ。
そして、19年7月には「L・ブランズ」CEOのレスリー・ウェクスナーが、児童買春の罪で有罪判決を受け、獄中自殺をしたと報じられている投資家ジェフリー・エプスタインと親しい関係にあったことで、強い非難を浴びた。続く8月には、非営利組織「モデル・アライアンス」が、ヴィクシーのCEOジョン・ミハスに対して、性的不正行為からモデルを守るべきとする公開書簡を発表。ジェフリーや、ヴィクシーの仕事をしていた複数のフォトグラファーらが、ヴィクシーと契約しているモデルたちに「性的に不適切な行いをした」と指摘した。
このように、18~19年とヴィクシーへのバッシング高まり、ブランドイメージは悪化の一途をたどってきた。
そんな中、ヴィクシーブランドが崩壊するような記事を、2月1日、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が掲載。19年8月に退任した「L・ブランズ」最高マーケティング責任者のエドが、CEOであるレスリーの庇護のもと、モデルにセクハラをしたり、社員いじめなどのパワハラをしてきたと告発したのだ。