カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「ar」2月号

「ar」お肌特集にトンデモ情報!? 「プラスチックを摂取しない」という読モの深い謎

2020/02/01 17:00
島本有紀子(ライター)

 いつもは一般人はまず着る機会のないようなコーデばかり紹介しがちな「ar」ですが、今月号では、珍しく日常に目を向けたコスパ服特集が。その名も「コスパ服で華の女になる!」。服だけでなく、合わせるメイクもプチプラ化粧品だけで施すという、同誌らしからぬ実用的な企画になっていました。冒頭のコーデはコートが5,990円(アズールバイマウジー)、ワンピースが4,536円(ベルシュカ)、バッグが3,173円(同)と、絶妙なプチプラ具合です。

 そして「ar」が、ほかの雑誌の似た特集と一線を画しているのは、プチプラの殿堂「ユニクロ」「ジーユー」に頼っていないところ。この企画で提案されている全28コーデ中、使われていたユニクロ製品はニット1着だけ。ジーユーはコート、スカート、パンプスの合計3点だけでした。「コスパ服=ユニクロとジーユー」「コスパ服=人と被る」……という意識を変えてくれそうな企画でした。

イケメン扱いのシャンプーハットこいで

 最後に見ていくのは、男性お笑い芸人をイケメンっぽく撮った「B‐1グランプリ」。「ar」が男性美容師でよくやる企画の、芸人バージョンです。

 人選に味があり、若者人気の高い「EXIT」兼近大樹はまだわかるのですが、読者からしたらオジサンの部類であろう「シャンプーハット」こいで、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「イマイチ印象に残らない芸人」代表だった「相席スタート」山添寛などが登場。こいではウインクしていたり、山添はバーでグラス片手に思案顔していたりと、イケメンふうにキメています。モノマネ芸人「JP」に至っては、言われないとわからない「長瀬智也ものまね」で誌面を飾っているのです。

 男性美容師バージョンでもそうですが、それぞれに添えられるキャッチフレーズも読ませます。兼近は「日常が楽しくないって思ったら かねちだけ見とけ(ハート)」、山添は「今日は強いお酒、飲もっか。」、こいでは「好きになられて困るんなら 僕に近づいたらあかんよ(ハート)」……。男性美容師バージョンのときにはない、「かっこよく撮ってもらってよかったね」という親心のような気持ちが湧いてくると同時に、こいでの浮き具合には、編集部に熱心なこいでファンがいるのだろうか、とも想像してしまいました。

 「お肌特集号」といながらも、ほかにも鍋企画「アノ人の鍋」、サウナ企画「サウナー女子のすすめ」、田中圭インタビュー「ご一緒に田中圭はいかがですか?」など、盛りだくさんだった今月号。一体何の雑誌を読んでいるのかわからなくなるほどネタが豊富で、表紙のまいやんが薄れるほど、おなかいっぱいになりました。

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2020/02/01 17:00
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