芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』同い年の女性と結婚したくない中年男性の“無自覚”『結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~』

2019/12/16 18:14
石徹白未亜(ライター)

 過去に同クルーズに参加し、カップルが成立した人々も今回登場した。このクルーズで披露宴を挙げたのだ。そこには前回のクルーズで、通常は男性による告白タイム中に、あえて女性側から「初日からいろいろな話をして将来のことも話した。これからも歩んでいけたら」「結婚を前提にお付き合いさせていただきたい」と力強く告白し、見事カップル成就となったサヨの姿もあった。

 しかしカップルが成立しても、その後成婚に至らないカップルも当然いる。年下の女性とのカップルが成立したエイジは、その後、舞い上がってしまったのだろうか。彼女から、LINEで「一回り年下に浮かれてないで、芸磨くなり、働くなり、営業するなりしてください。一生懸命さがいいなと思ったのに」 と手厳しい指摘を受け、そのまま振られる形で終わってしまっていた。

 エイジや、そして智仁のクルーズ参加理由は「年も年だし、寂しいし……」といった、自分の都合によるものだ。サヨの「これからも歩んでいけたら」という、この人と二人でやっていこうという意志を見ていてあまり感じなかった。

 一方、裕二は結婚したいという強い意志を感じる。しかし、クルーズ中に疲れたのか酔っ払ったのか、椅子にぐったりと腰掛けている姿は“終電で寝過ごし高尾駅まで行ってしまったサラリーマン”といった趣で、旅をしながら一日中一緒に過ごすという体力勝負のクルーズは、51歳にはそもそも合っていない気がした。普通のお見合いではなく、クルーズを選ぶというセンスがズレているように思う。

 裕二のズレはそれだけでない。告白時に男性は女性にプレゼントを用意するが、ほかの人がぬいぐるみなど手頃なものを選んでいる中、裕二は6万円のダイヤのネックレスを持参し、「それは重すぎる」とスタッフに止められていた。裕二のような「いい人なんだけど……」タイプは、こうした“ズレ”を醸していることが多い。やる気はあるのに、方向がズレているのだ。智仁も裕二もカップル成立となったとはいえ、先行きは大丈夫だろうかと他人事ながら心配だ。

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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最終更新:2019/12/16 18:14
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