『ザ・ノンフィクション』同い年の女性と結婚したくない中年男性の“無自覚”『結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~』
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月15日の放送は「結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~」。結婚相談所「ノッツェ」が開催する婚活クルーズは、『ザ・ノンフィクション』の人気シリーズの一つだ。今回は、中年男性二人の奮闘や、前回参加者のその後を追う。
あらすじ
今回の主人公は男性二人。一人は秋本智仁、43歳。 不動産屋のアルバイトをしつつお笑い芸人として活動を続けている。かつて彼女と同棲していたものの、自身の収入面の不安から結婚には踏み切れなかった。周囲も結婚しだし、寂しさから婚活クルーズへの参加を決意する。
二人目の主人公は村瀬裕二、51歳。 地元の工場に30年勤務する、手堅い「いい人」だが、40歳をすぎて真剣に婚活を始めたところ、交際相手の親に反対されるといった壁が立ちふさがった。婚活クルーズへの参加は4回目となるベテランで、本人も「背水の陣」と語る。二人とも紆余曲折の末、告白した女性から「お友達から」ながらもカップル成立となる。
男40歳「そろそろ結婚しようかな、28歳の女の子と」
主人公・智仁、裕二のほかに、今回はもうひとりの男性が登場した。過去に同クルーズへ参加した舞台役者・賢茂エイジ、45歳だ 。この三人の結婚観には共通点がある。そしてそれは、都市部で暮らす男性にとってスタンダードなものにも思える。
その結婚観とは、かなり底意地の悪い感じで言ってしまうと、「30代は気楽に自由に生きたいし、結婚なんて考えられなかったけど、40歳になったし、人目も気になるし寂しくなってきたから、そろそろ結婚したい。28歳の女の子と」となる。というのも、三人とも、自分と同い年の女性は眼中にないらしく、告白相手の年齢は自身よりかなり年下だった(裕二のお相手女性の年齢は表示されていなかったが、見た限りは裕二よりかなり若いように見えた)。
断っておくが、この三人の男性たちは悪人ではなく感じはいい。番組を見る限り、参加していた中高年の女性参加者に対して差別的な反応をしていたわけでは決してない。なのだが、「自分と同世代の女性」は選択肢としてそもそもすっぽり抜けている、視界にハナから入っていない感じがする。
この婚活クルーズは女性側の費用は1万円 ほどだが、男性側の費用は16.8万円から。 「高い金払ったんだから若い子に行かせてよ」という気持ちは重々理解できる。だが、若い女性とて、中高年男性と付き合うならば、自分の若さを差し出す分の見返りがほしいところだろう。
今回ナレーションを務めたのは、女優の剛力彩芽。その元カレ・前澤友作氏は以前、紗栄子とも付き合っていたが、前澤氏は資産家であるため「金=女性の若さと美しさ」という等価交換が成り立っているように思う。しかし、金があるわけでもない中高年男性は、自分の何が等価交換できると思っているのだろう。まさか、「大人の人間性で勝負」とでも思っているのだろうか。
繰り返しになるが、今回の主人公二人もエイジも皆悪い人ではない。そんな「普通の男性」とて「同い年の女性はそもそも視界に入らない」という無自覚な高望みがある。おじさんである自分を棚に上げていて、さらに、そのことに気がついていない。これは非婚社会が進むなと思った。