「セブン-イレブン」「ZOZO」「RIZAP」……2019年、企業スキャンダルの“主役”たちを考察!
――9月に、ヤフーが4000億円でZOZOを買収したことも話題を集めました。それに伴い、創業者の前澤友作氏が退任したことを、“転落”と見る人も多かったようです。
西田 本書ではZOZOと前澤さんのことを大絶賛しちゃっているんですよ。ファッションって、「どんな服を買うのか」も大切ですが、「どこで買ったのか」も重要。せっかくならオシャレなイメージの場所で買いたいというのが消費者の本音であるため、そのブランディングのためにファッションビルは、ものすごいお金を掛けてイメージ宣伝しますよね。
ZOZOの場合、そのブランディングを「カリスマIT社長」の前澤さんを広告塔に押し出すことで成功させてきました。もともとプロのミュージシャンでスタイリッシュ、資産1000億円の大金持ちですからね。その彼に、ど派手な言動をさせることによって、「ZOZOで買う」ことが、「格好いい」「オシャレ」というイメージを付けていった。つまり、前澤さんが女優をはべらせて高級ワインをがぶ飲みすることが、売り上げアップにつながるんです。このビジネスモデルを作った前澤さんは天才的な経営者ですよ。
――ですが、彼のど派手な言動がTwitterを中心に反感を買い、炎上したのが、今回の退任劇の背景にあると見る向きもあります。
西田 社長を広告塔にしてZOZOのブランディングをするならば、ある程度、会社が大きくなった時点で、炎上を回避するためにプロのスタッフを雇い、全ての言動はシナリオ通りやるんですよ、まっとうな経営者なら。でも前澤さんは、そういうタイプじゃなかったんでしょうね。
炎上から買収、退任までの流れを見ると、明らかに役員たちは前澤さんがコケるのを待っていたというか、一同で「社長のちょっといいとこ、見てみたい」と、ガンガン煽っていたんだろうな、と(笑)。
――剛力彩芽さんとの交際でも騒がれていましたが……。
西田 剛力さんと交際した頃には、すでに社員から見限られていた気がします。実際、彼は退任直後に新会社を設立しましたが、社員は前澤さん一人とのことで、つまり彼に付いていった役員は、誰もいないんです。彼のようなカリスマ経営者は、ベンチャー企業を大きくするのには向いていますが、会社を安定させるのは不向きなんでしょうね。
とはいえ、キャッシュで1000億円残りましたし、いわば「強くてニューゲーム」(主にロールプレイングにおいて、ゲームクリア時点でのセーブデータを引き継ぎ、初めからゲームを始められるシステム)で起業できる以上、ZOZOレベルの会社はすぐにつくると思いますよ。ま、それで成功しても、またすぐ追い出されちゃうんでしょうが(笑)。