「セブン-イレブン」「ZOZO」「RIZAP」……2019年、企業スキャンダルの“主役”たちを考察!
令和元年も間もなく終わりを迎えるが、今年も多くの企業スキャンダルが噴出し、さまざまなメディアで“転落”を伝えるニュースを目にした。そんな、世間に悪い意味で話題を振りまいた企業や著名人の「ビジネスモデル」は、どのような問題をはらんでいたのだろうか――。今回、金儲けに長けた経営者たちの戦略をわかりやすく紹介した書籍『コイツらのゼニ儲け アコギで、エグくて、ときどき怖い』(秀和システム、12月18日発売)の著者である西田健氏に、今年何かとニュースになった有名企業「セブン‐イレブン」「ZOZO」「RIZAP」について、その問題点を聞いた。
24時間営業問題に揺れた「セブン‐イレブン」
――今年は、「セブン‐イレブン」に関するニュースをよく目にしました。今年2月、南上小阪店のオーナーが、人員不足により営業時間を19時間に短縮したところ、本部からフランチャイズ(FC)契約違反を理由に1700万円を請求され、さらにFC解約を求められたことが明るみに。以前から、コンビニオーナーの過重労働問題が取り沙汰されていたこともあり、セブン本部への批判が噴出しました。
西田健氏(以下、西田) 今のコンビニって、IT技術の発達によって、儲けようとすれば、どこまでもムチャができるようになっているんですよ。例えば、朝は出勤する会社員向け、昼は近所の高齢者や主婦向け、夕方は帰宅中の学生向け、夜は一人暮らしのOLやサラリーマン向けといった具合に、時間帯によって商品構成を変えることができ、本部には、いろんな企業から新商品やサービスのオファーがあります。
そのため、本部が儲け主義なら、「あれもやれ、これもやれ、できなければ機会ロスだ、ペナルティだ」とFCのオーナーを追い詰めるようになり、地獄のような職場に早変わりするんですね。2000年代までは、ここまで効率化や儲け主義はひどくなかった。「24時間営業を辞めたい」というオーナーの声が高まっているのは当然だと思いますよ。あと、特に今はバイトの主力が外国人で、オーナーが彼らの対応に苦労しているという話もあります。
――具体的に、どのような苦労があるのでしょうか。
西田 『コイツらのゼニ儲け』にも、オーナーの苦労話として「日本語が不自由なことでバイトが客とトラブルを起こせば、すぐさまオーナーが出て行って謝り、外国人留学生が生活面で苦労していれば、あれこれと面倒を見てやり、国籍違いからバイト同士でケンカをすれば、 行って仲裁する。まさに『雨ニモマケズ』」と書きましたが、オーナーの本音は「もうね、でくの坊と呼ばれていいから、とにかく休ませてくれ。深夜枠だけでもいいので安心して眠りたい」というところですよ(笑)。
セブン‐イレブンに対し、オーナーが反旗を翻すさまをよく表しているのが、店のテーマソングだったザ・タイマーズの「デイドリームビリーバー」なのではないでしょうか。あの曲のサビ部分って、つまり「寝ぼけるな、目を覚ませ」という内容なんですが、ボロボロのカラダに鞭打って働くオーナーは、その曲をうんざりするほど聞かされるんです。歌詞の意味を知ったオーナーから「目が覚めて」立ち上がっているんでしょうね。