「人間のクズ」と店長戦慄! 万引きGメンに捕まった少女、その両親の恐るべき“復讐”とは
(あまり、いい子には見えないわね……)
そうしてまもなく、一見して中学生くらいに見える女の子が、店に入ってくるのが目につきました。中学生が1人でくるようなタイプの店ではありませんが、周囲を確認してみても保護者らしき人の姿は見あたりません。キティちゃんのプリントが入った派手なスウェットを上下に着込んで、パステルカラーの大きなスポーツバッグを斜めがけした彼女の姿は、高級感あふれる店内で異彩を放っています。その違和感から行動を見守ることにすると、腰元にあったスポーツバッグをおなかの方にずらした彼女は、チャックを全開にして、輸入物の高級調理器具が並ぶ売場に入っていきます。近くにある商品棚の陰に潜んで、棚の隙間から彼女の行動を覗きみれば、色違いのスウェット上下に身を包んだ30代後半と思しきカップルと言葉を交わしているように見えました。それからまもなくして、カップルは売場を離れていきましたが、1人残された彼女は動こうとしません。
(なにか、おかしいわね。顔見知りなのかしら)
そのまま行動を見守っていると、子どもらしからぬ悪い目で周囲の様子を窺った彼女は、1本の高級包丁を手にしました。プラケースに貼られた防犯シールを、人差し指の爪で剥がしているようで、爪から発せられるガリガリという音が広い店内にこだましています。どこで教わったのか、剥がし終えたシールは別の商品に貼りつける悪質さで、我が目を疑う気持ちにさせられました。防犯シールの除去を終えた高級包丁を、素早くバッグに隠した彼女は、次に小さなフライパンを手にしました。それも同様の手口でバッグに隠すと、さらに続けて小鍋やトングなど、いくつかの商品を隠していきます。防犯機器を手際よく除去して、臆することなく大胆に商品を隠していく彼女の様子に、常習性を感じたのは言うまでもありません。バッグのチャックを閉めて歩き始めた彼女の後を追うと、迷うことなく化粧品売場に入っていきます。
(あ! また、いる……)
化粧品売場に目をやると、彼女のほかに、あのカップルの姿もありました。近づける雰囲気ではないので、遠目から注意深く観察すれば、それとなく彼女に近づいて、なにやら呟いているように見えます。一連のことが偶然のこととは思えず、なにをするでもなく早々と売場を離れていく2人の行き先も気になりますが、現認の取れている彼女から目を離すわけにもいきません。
その場に止まって彼女の動向を見守っていると、再度バッグのチャックを開いた彼女は、棚取りした箱入りの化粧水を中抜きしてバッグに隠しました。空き箱は潰して、棚の隙間にねじ込んでいます。それに続けて、乳液や口紅、アイシャドー、ファンデーションなどを手にした彼女は、同様の手口で全てをバッグに隠しました。