コラム
オンナ万引きGメン日誌

「人間のクズ」と店長戦慄! 万引きGメンに捕まった少女、その両親の恐るべき“復讐”とは

2019/12/14 16:00
澄江(保安員)

 こんにちは、保安員の澄江です。

 普段は、生鮮市場やスーパーマーケット、ショッピングモールなど、食品をメインに扱う現場を中心に担当している私ですが、少し前に大きな家具屋さんでの勤務を経験しました。家具屋さんといっても、ずいぶんと現代的な造りをした店舗で、おしゃれな雑貨から珍しい輸入食品まで、家具以外にも幅広い商品を多数扱う地元の人気店です。週末や祝祭日は、周辺道路が渋滞するほどの盛況ぶりで、その混雑に乗じた犯行が横行しているとのこと。いままで付き合っていた保安会社が誤認事故を起こしたことを理由に、契約を弊社に切り替えていただいたそうで、手の抜けない週末になる気配を感じます。40代前半と思しきLiLicoさん似の女性店長に入店の挨拶を済ませて、この店の被害状況を尋ねると、にこやかにプレッシャーをかけられました。

「年間の被害で300万くらいです。たくさんいると思いますけど、間違いだけは起こさないでくださいね」

 大物家具のショールームである2階に、万引きされるようなものは見当たらないので、1階の売場を中心に巡回することとします。店内の状況を把握するべく、広大な売場を見て回ると、雑貨や小物家具をはじめ、食器、菓子、文具、ワイン、化粧品など、比較的高価で魅力的な商品が溢れていました。なくても困らない贅沢品を好む傾向のある万引き犯からすれば、格好の獲物と言える商品ばかりで、なにを盗まれてもおかしくない感じがします。店員さんの姿もまばらなため、やる気になればなんでも盗れる状況にあると言っても過言ではなく、その被害は想像以上に多いと感じられました。中抜きされたらしい商品の空き箱や除去された防犯タグなど、被害の痕跡も多数放置されており、被害者である店側の防犯意識は低そうです。

(ここは、確かにやられているわね。広い店だから、油断しないようにしないと……)

 たくさんの常習者を抱える店舗に入ると、嫌な予感がするもので、どこか落ち着かない気持ちにさせられます。おそらくは長年の経験によるものと思われますが、お店の持つ雰囲気や構造、扱う商品、土地柄などから、見えない情報が伝わってくるのです。

 嫌な予感ほどよく当たるもので、この日は前半の勤務だけでも、2件の見送りがありました。現認のタイミングが合わず、犯意成立要件の一部が欠けてしまい、声をかけるまでに至らなかったのです。短時間の内に失敗を繰り返したことで、自分の存在意義がないような気持ちになってしまい、どうにもならないくらいにイラついて心が落ち着きません。お昼休憩をいただくことで、冷静さを取り戻し、後半の勤務に臨んだ私は、不審者の目星をつけるべく、入店してくるお客さんの様子を眺めることから業務を再開します。

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