エイサップ・ロッキー、かつて長期拘束されていた拘置所でのパフォーマンスを断られる!
今年6月末、音楽フェスティバルに出演するため滞在していたスウェーデンの首都ストックホルムで、執拗につきまとってきた男性を暴行した罪で逮捕され、1カ月余りの拘置所生活を送る羽目になった黒人ラッパーのエイサップ・ロッキー。
2018年5月に、米白人ラッパーのG・イージーが同じくストックホルムで暴行と薬物所持の疑いで逮捕された時はすぐに釈放・裁判が行われたのに、エイサップはいつまでたっても釈放のめどが立たず。劣悪な環境の独房で拘束されていると報じられ、「黒人差別だ」と国際問題になった。数多くのセレブがエイサップの早期釈放を呼びかけ、ネット上では署名活動も行われ、トランプ米大統領が動くほどの大ごとへと発展。しかし、スウェーデン側は自分たちのペースで事を進め、7月30日に初公判を開始、8月2日の審理の結果、エイサップはようやく釈放された。
彼はすぐさま、サポートしてくれた世界中のファンに感謝する言葉をインスタグラムに投稿し、プライベートジェットで帰国。2日後にはラッパーのカニエ・ウェストが主催するサンデー・サービス(歌をメインにした日曜礼拝)に出席し、神に祈りを捧げた。そして、その1週間後に開催されたフェスで釈放後初のパフォーマンスを行い、次第に日常へと戻っていった。
ストックホルム地方裁判所は、8月14日に有罪との判決を下し、執行猶予2年、被害者への賠償金1万2,500スウェーデンクローナ(約14万円)の支払いを言い渡した。それに対し、エイサップはインスタで「(無罪じゃなくて)がっかり」と不満げ。しかし、釈放時に「二度度とスウェーデンには来たくない」と話していたことが報じられ、また執行猶予の身であるため、今後は同国と関わることなく活動していくものだとみられていた。
ところが11月上旬、エイサップは「拘置されている間、テレビに映ったスウェーデンのファンたちの多大なるサポートや愛に励まされた。そのお返しをしたい」と、同国でパフォーマンスすることを発表。12月11日に、1万6,000人を収容できるストックホルム・グローブ・アリーナで公演を行い、収益の一部は同国の移民支援団体に寄付するというのだ。
彼が信頼を寄せるカニエが刑務所でサンデー・サービスを行ったことに影響されたのか、同月下旬には米ニュースサイト「TMZ」の突撃取材班に対して「無理だろうけど、できることなら(自分がいた)拘置所でもパフォーマンスしたい」との希望を口にするように。拘置所側も「TMZ」の取材に対し、「正式な申し込みがあったら検討する」と伝え、実現するか注目が集まった。
エイサップは拘置所の中で他の収容者と交流したそうで、裁判を受けるまで10カ月~2年もの長期勾留されている移民収容者たちを励ましたいと切望(拘置所側は「裁判を受けるまで4カ月以上待つ収容者は、全体の15%」と主張)。今回のスウェーデン公演で得た「収益の大半は、(移民)収容者の待遇改善や拘置所の改良に使ってもらう」と具体的に明かし、収容者のために新しいユニフォームをデザインしたと発表した。
しかし、残念ながら拘置所でのパフォーマンスは「安全上の理由」などを盾に断られてしまった。「TMZ」は12月4日、エイサップの申請書に記載されていた「DJ、11人のパフォーマー、テクニカル・クルーたち、4~5人のカメラ撮影者を同行する」という記述が引っかかったのではないかと指摘。拘置所側としては「収容者であふれ返っているところに、そんな大人数でぞろぞろ来られたら迷惑」というのが本音なのではないかと推測した。
拘置所でのパフォーマンスは実現しないが、スウェーデンに行くことは確定している。帽子が彼のブームだった際に帽子に触った女性ファンにビンタを食らわせたり、公演中、観客に帽子を盗られたと激怒して途中で帰ってしまったりと、かなり短気なエイサップ。そのため、ファンは「公演では何事も起らず、無事にスウェーデンから出国できますように」と祈っているようだ。