ヨーロッパ怖すぎ……

エイサップ・ロッキーに続き……ラッパーのフューチャー、欧州で白人につきまとわれ、ボディガードが石で殴られる

2019/07/26 19:24
堀川樹里
「逃げるが勝ち」が防衛策なんて末期状態じゃん

 7月初旬から注目され、いまでは国際問題にまで発展しつつある人気ラッパー、エイサップ・ロッキーの事件。これは、エイサップが訪問先であるスウェーデンで執拗につきまとってきた男たちを殴り、逮捕されたもの。比較的軽度の暴行事件にもかかわらず、いまだ身柄を拘束されているのは、彼が「黒人だからだ」と米メディアが連日大きく報じている。

 そんな中、米アトランタ出身の人気ラッパーで、ソングライターとしても高く評価されているフューチャーがヨーロッパでトラブルに巻き込まれ、その動画が流出した。そこには、殴られて倒れたボディガードの周りを「お寝んねしてるぜ! ギャハハ!」と爆笑しながら飛び回る複数の白人男性たちや、倒れたボディガードを無視してその場から離れていくフューチャーの姿、「フューチャーが逃げたぜ、クズが!」という男たちの叫び声、それを聞こえないかのようにしている彼の姿が映ってっている。

 米ニュースサイト「TMZ」によると、22日にスペイン・イビサ空港に到着したフューチャーがターミナル内を移動中、10人前後の白人男性たちが「写真を撮りたい」と声をかけてきたそう。フューチャーが「今日は勘弁してくれよ」と断ったところ、男たちはブチ切れ。人種差別的な発言を交えながらケンカを売ってきた。情報筋によると、ボディガードが間に入り、暴れる男たちの何人かを打ちのめしたものの、背後から忍び寄った男に不意打ちを食らったとのこと。ボディガードが倒れた際、殴った男の手には石が握り締められていたという目撃情報もある。ちなみにボディガードは流血したものの、重傷には至らなかったようだ。

 ネット上には、白人男性たちへの非難とともに、「全く助けようとしないフューチャーもひどい」「ボディガードは使い捨てと考えてるんだろう」などと、フューチャーを責めるような意見も多く見受けられた。

 動画が流出した22日の午後、フューチャーはインスタグラムのストーリーで、「イキがってるチンピラたちが、『チンコしゃぶらせてくれ、それを写真に撮りたいから』と言ってきたから、断った。そうしたら、ヤツらはクズな行動に走った」「オレはそのまま空港を去ったんだけど、野郎どもは動画を編集してブログに載せた」と説明。「ヤツらがボディガードにしたことを、オレは見てなかった。何も目撃してないんだ」と反論した。


 翌23日、「TMZ」は、実際フューチャーは気色ばんでいたが、同行していたスタッフがエイサップの二の舞いになってしまうと懸念し、男たちから彼を引き離したと報道。その後、対応に当たっていたボディガードが、背後から男に石で殴られて倒れたという。また現場にいた複数の目撃者たちの証言として、「ボディガードが倒れた時にフューチャーはおらず、気づいていなかった」と伝え、動画は、男たちが「フューチャーは白人に恐れをなしたチキン野郎」というように悪意を持って編集したもののようだ。

 治安の悪い地区で曽祖母に育てられたフューチャーは、親族のほとんどが薬物依存症というすさんだ環境で育った。自身も何度も薬物がらみで逮捕され、高校を中退。14~15歳の頃には、拳銃で右手を撃たれるという壮絶な人生を歩んできた。そのため、ケンカを吹っ掛けられて、すごすご逃げるようなタイプではないと思われる。

 今回の騒動を受けて、アメリカではヨーロッパにおける黒人差別が問題視され始め、「殴った相手が意識を失っているのに、それを喜んでいる自分たちの姿を、顔を出したままネットに載せるなんて信じられない」「ヨーロッパの白人が怖い。まるでサイコパスのようだ」「黒人を殴っても犯罪じゃないと、本気で思ってるんだろうな」と、怒りをあらわにする人も。

 ちなみに、エイサップは25日、とうとう暴行罪で起訴された。裁判は、30日、8月1日、2日と行われる予定で、最悪の場合、禁錮刑に処される可能性もあると報じられている。先にエイサップのボディガードに暴力を振るった“被害者”男性にはたくさんの前科があるものの、大した刑を受けてこなかったことが判明し、ネット上では「スウェーデンの司法は明らかにおかしい」「厳しい刑を与えていたら、今回の事件も起こらなかったのでは」などと、スウェーデン側の対応の甘さを指摘する人も。

 米トランプ大統領も、「スウェーデンの首相にはがっかり。アメリカの黒人コミュニティを失望させた。エイサップ・ロッキーの例のテープを見たが、トラブルメーカーの男につきまとわれて嫌がらせを受けていたじゃないか。アメリカ人を公平に扱ってもらいたいものだね」「エイサップ・ロッキーに自由を与えてくれ。スウェーデンには良き計らいを行ってきたが、逆効果になっているようだな。スウェーデンは自国で起きている犯罪問題をなんとかすべきじゃないか」と、「#FreeRocky」のハッシュタグをつけてツイートし、多くの人がそれをシェア。全米の怒りはピークに達している。


最終更新:2019/07/26 19:25
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