写真で振り返る「2019年1月～6月に亡くなったセレブ」――カール・ラガーフェルド、ルーク・ペリーら

ルイザ・モリッツ（写真左端）

　1月4日、入院中のロサンゼルスの病院で82歳で老衰のため死去。キューバ出身、ニューヨークで弁護士の資格を取得した才女で、女優としても頭角を現し、映画『カッコーの巣の上で』（1975）でジャック・ニコルソン相手に熱演。『ハッピーデイズ』『マッシュ』など国民的TVコメディにも出演した。14年に、大御所コメディアン、ビル・コスビーから71年に性的暴行を受けたと告発。訴訟を起こしていた。弁護士は彼女の死後も、訴訟を続けると宣言している。

ケヴィン・フレット

　1月10日、プエルトリコをバイクで移動中に銃撃され、24歳の若さで亡くなった。初めてゲイだとカミングアウトしたラテンヒップホップ・アーティストとして注目を集め、昨年リリースした「Soy Asi」はスマッシュヒットとなり、今後の活動が注目されていた。

キャロル・チャニング（写真右）

　1月15日にカリフォルニアの自宅で死去。昨年何度か脳卒中発作を起こしたが、死因は老衰だと発表された。享年97歳。芸歴70年以上、ブロードウェイを中心に活躍したトニー賞常連女優で、02年にはグラミー賞殿堂賞を獲得。90歳になっても現役だった女優として知られている。

スティーブ・ビーン（写真中央）

　1月21日、3年前に発症した扁平上皮がんのため死去。『ジェシカおばさんの事件簿』『名探偵モンク』など数多くの人気ドラマに出演した役者で、数年前には 『シェイムレス 俺たちに恥はない』にも出ていた。昨年、米ライフスタイルサイト「Melマガジン」に、がんのため鼻を切除し、壮絶な闘病生活を送っているというエッセーを寄稿。再発して余命9～12カ月だと告知されたと明かしていた。享年58歳。

ケビン・バーネット

　1月22日に旅行先のメキシコで体調を崩し、急死。検死解剖の結果、膵炎による非外傷性出血が死因だと判明。人気コメディアンで、アダム・サンドラー主演『ドゥ・オーバー もしも生まれ変わったら』（16）などヒット映画の脚本を手がけるなど多彩な才能を持ち、将来を有望視されていた。製作総指揮を務める新作コメディ『Rel』の放送がスタートしたばかりで、32歳というあまりにも早すぎる死に全米がショックを受けた。

ジェームス・イングラム

　1月29日、脳腫瘍のため66歳でこの世を去った。67歳の誕生日まであと2週間だった。80年代から90年代にかけて活躍したR＆B歌手／音楽プロデューサーで、パティ・オースティンとのデュエット曲「Baby, Come To Me」（81）など数々の名曲を生んだ。豪華アーティストが集ったアフリカ貧困防止のキャンペーンソング「ウィ・アー・ザ・ワールド」（85）にも参加し、グラミー賞歌手としての貫禄を見せつけた。

ジュリー・アダムス

　2月3日、ロサンゼルスで92歳の生涯を終えた。モンスター映画『大アマゾンの半魚人』（54）のヒロイン役でカルト的な人気を得て、『ジェシカおばさんの事件簿』や『LOST』など人気テレビドラマにも出演。公開から半世紀以上経った今も『大アマゾンの半魚人』のイメージが強く、マニアの間では絶大的な人気を誇っている。

アルバート・フィニー（写真右）

　2月7日、肺感染症のため入院していたロンドンの病院で、親しい友人や家族に見守られ、82年の生涯を終えた。『トム・ジョーンズの華麗な冒険』（63）、『クリスマス・キャロル』（70）など数多くの名作に出演し、『オリエント急行殺人事件』（74）では名探偵ポワロ役を熱演。50年以上にわたるキャリアの中でアカデミー賞主演男優賞に4度、助演男優賞に1度ノミネートされるなど演技力が高く評価された。07年に腎臓がんであることを告白したが、その後も『007 スカイフォール』（12）に出演していた。

ジャン＝マイケル・ヴィンセント
　2月10日、ノースカロライナ州の病院で心不全を起こし、74歳で死去。80年代の人気ドラマシリーズ『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』で主役を演じ、一躍有名に。当時のトップクラスの出演料を手に入れたが、アルコールと薬物依存症に陥った上、自動車事故で大ケガを負い、役者として低迷。00年前半に事実上俳優を引退した。12年には感染症のため右足を2度切断。健康状態は最悪だったが酒をやめられず、生涯依存症に苦しんだ。

カーメン・アルジェンツィアノ（写真右）
　2月10日に死去した、と代理人が発表。死因は公表されていない。『ゴッドファーザー PART II』（74）、『ダーティハリー4』（83）、『告発の行方』（88）など数多くの名作映画に出演。『スターゲイト SG-1』（97～07）などの人気ドラマにも引っ張りだこで、ハリウッドになくてはならない名脇役として人気を集めた。75歳だった。

カール・ラガーフェルド
　2月19日、膵臓がんのため死去。83年にシャネルのクリエイティブディレクターに就任し、80年代、90年代とシャネルの黄金時代を築いたカリスマ。「ファッションは夢と幻想の世界だから、太った女なんて誰も見たくない」など挑発的な発言でも知られ、パリ・モードの帝王としてファッション業界に君臨していた。がんのことは公表せず、亡くなる前日まで働いていた。享年85歳。

ピーター・トーク
　2月21日、コネチカット州の自宅で77歳で死去。伝説的バンド「モンキーズ」のベーシストとして活躍し、少女から絶大なる人気を得た。09年に腺様嚢胞がんと診断され、手術、放射線治療を経て、ステージに復帰。しかし18年にがんが再発。愛されキャラだったことから、大勢のアーティストがSNSに追悼メッセージを投稿した。

リサ・シェリダン
　2月25日、ニューオリンズの自宅で44歳で死去。検死解剖の結果、慢性アルコール中毒、向精神薬ベンゾジアゼピンの薬物乱用が死の引き金になったと発表。亡くなる少し前に転倒し、脳を損傷していたことも判明した。『CSI』シリーズなど数多くの人気ドラマに脇役として出演。私生活では、03年に俳優のロン・リビングストンと婚約したものの破局。生涯独身だった。

ルーク・ペリー
　3月4日、入院先の病院で死去。2月27日に脳卒中に倒れて治療を受けていたが、意識が戻ることはなかった。90年代に大ヒットした『ビバリーヒルズ高校／青春白書』のディラン役として人気者に。近年は、ドラマ『リバーデイル』の主人公の父親役として再ブレイク中だった。リバイバル版『ビバヒル』への出演は『リバーデイル』のため断ったとされていたが、ゲスト出演を期待していたファンが多かったため、SNSでは彼の急死を嘆き悲しむ声が殺到した。

キース・フリント
　90年代のレイヴ・カルチャーを代表する「プロディジー」のフロントマンとして活躍し、カルト的な人気を博した。3月4日、イギリス・エセックスの自宅で首を吊った状態で発見。検死解剖の結果、体内からコカインやアルコールなどが検出され、自殺なのか事故なのか判断できない「死因不明」という評決が下された。享年49歳。

ケリー・カトリン
　3月7日、スタンフォード大学の学生寮で自殺。まだ23歳だった。自転車トラック競技選手で、16年のリオデジャネイロ五輪にチームパシュートのメンバーとして出場。銀メダルを獲得した。昨年、米水泳選手マイケル・フェルプスが「五輪後にうつになるアスリートが多い」と米オリンピック委員会に支援を求めていることから、ケリーも五輪メダリストならではの悩みがあったのではないかとみられている。

ハル・ブレイン（写真右）
　3月11日、カルフォルニアの自宅で、老衰のため91歳で死去。伝説的ドラマーとして知られ、名音楽プロデューサー、フィル・スペクターのセッション・メンバーに抜擢されたり、エルヴィス・プレスリー、ザ・ビーチ・ボーイズ、フランク・シナトラら、数多くの世界的アーティストたちの演奏に参加した。2000年にスタジオ・ミュージシャンとして初のロックの殿堂入りを果たし、大きな話題となった。

ディック・デイル
　3月16日、カルフォルニアの病院で妻に見守られながら81歳で死去。「サーフ・ロックの生みの親」と呼ばれた天才ギタリストで、62年にリリースした「Misirlou」がクエンティン・タランティーノ監督の映画『パルプ・フィクション』（94）のオープニング曲に採用され、大ヒットした。近年は心臓発作治療やがん闘病に苦しんだが、医療費のために昨年もツアーを行っていた。

ジャスティン・カーター
　カントリー歌手。3月16日、自宅リビングでミュージック・ビデオ撮影中に、小道具としてポケットに入れていた銃が暴発。目の横に命中し、命を落とした。歌手としてこれからという35歳で、ツアーを開始するところだったという。衝撃的な訃報にネット上では「やはり銃規制が必要なのでは」という声が上がった。

ニップシー・ハッスル
　3月31日、経営するアパレルショップの外で銃撃され死亡。貧困地区である地元ロサンゼルス・クレンショーを愛した男で、地域のために貢献していただけに彼の死はコミュニティに大きな衝撃を与えた。当初はギャングがらみの事件だと報じられたが、一方的に恨みを持たれて殺害されたものと見られている。ステイプルズ・センターで行われた追悼式典には大勢の人が駆けつけ、オバマ元大統領も弔辞を寄せた。享年33歳。

ビビ・アンデショーン
　4月14日、ストックホルムの老人ホームで死去。スウェーデンを代表する女優で『女はそれを待っている』（58）でカンヌ国際映画祭女優賞を獲得。80年代から90年代はテレビドラマで活躍するようになった。09年に脳卒中に倒れ、言葉が出なくなってからは老人ホームで闘病生活を送っていた。享年83歳。

マヤ＝レシア・ネイラー
　4月7日、自宅で首をつった状態で発見された。まだ16歳だった。トム・ハンクスの主演映画『クラウド　アトラス』（12）など、数多くの映画やドラマに出演し、将来を期待されていた子役だった。父親からパーティに行くことを禁じられ、またGCSE（イギリスの全国統一試験）の出来が悪いのではと気にしていたというが、直前まで家族と将来について語っており、自殺する気配はなかったという。検死官は死因を「不運な事故」と発表している。

ステファニー・シャーク
　カナダ出身のモデルで女優。4月12日に、カリフォルニアの自宅プールの底に重石をつけた状態で沈んでいるところを、夫で俳優のデミアン・ビチルが発見。病院に緊急搬送されたが、意識が戻ることなく20日に亡くなった。自殺だと見られている。37歳とされていたが、司法解剖書には43歳と記載されている。

ジョン・シングルトン
　4月17日に脳卒中で倒れてから昏睡状態が続き、意識が戻ることなく29日に51歳でこの世を去った。黒人映画監督として業界から愛され、『シャフト』（00）、『ワイルドスピードX2』（03）など数多くのヒット映画を手がけた。最期は家族の決断により生命維持装置が外された。

マックス・アズリア
　5月6日、肺がんのため70歳で死去。チュニジア出身、フランス育ち、アメリカで拠点に活躍していた男性ファッションデザイナーで、世界的ブランド「BCBG」の創設者。ブランド名は、パリの上流階級的な“シックで趣味のよいファッション”という意味の「ボン シック ボン ジャンル」から命名され、品のあるデザインはハリウッドセレブに愛された。

ペギー・リプトン（写真左）
　5月11日、がん闘病の末に72歳で他界。ジャズミュージシャン、クインシー・ジョーンズとの間にもうけた娘たちが「穏やかな最期だった」と発表した。15歳でモデル、19歳でテレビ女優として活動するようになり、数多くのドラマや映画に出演。世界的に大ヒットした『モッズ特捜隊』や『ツイン・ピークス』で知られ、17年に放送された『ツイン・ピークス』リバイバル版でも同役で出演した。

イオ・ミン・ペイ
　5月16日、マンハッタンの自宅で死去。中国出身でマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学大学院で建築を学び、65年にニューヨークで建築設計事務所を立ち上げた。“幾何学の魔術師”と呼ばれ、パリのルーブル美術館のガラスピラミッドなどを設計。享年102歳という大往生だった。

カーマイン・カリディ
　5月28日、入院中のロサンゼルスの病院で死去。『ゴッドファーザー PART II』（74）でマフィアファミリーの長男役に抜てきされたものの、三男で主役であるアル・パチーノよりもかなり背が高かったため、別の役を演じることになった。同作のPART IIIにも別の役として出演しており、フランシス・フォード・コッポラ監督に目をかけてもらっていたと伝えられている。04年に一般人に未公開映画をコピーして渡した罪で、アカデミー賞を主催する映画芸術アカデミーを追放、ソニーやタイム・ワーナーからも提訴された。波乱万丈の人生だったが、最期は友人、家族に囲まれ息を引き取った。享年85歳。

シルヴィア・マイルズ
　6月12日に病院搬送中に94歳で亡くなったシルヴィア。彼女は6分しか登場しなかったにもかかわらず、映画『真夜中のカーボーイ』（69）でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた、圧倒的な存在感を放つ大女優として知られていた。年老いてからも『セックス・アンド・ザ・シティ』などの人気作に出演。晩年は貧血症と呼吸器疾患を患っており、亡くなる数カ月前から老人ケアホームに入所していた。

グロリア・ヴァンダービルト（写真右が息子）
　6月17日、胃がんのため95歳の生涯を閉じたグロリア。大富豪のお嬢様として生まれ、ニューヨーク社交界の華だった。アーティスト、デザイナー、詩人、作家など多方面で活躍。時代の流れに敏感で、彼女のスタイリッシュなインスタグラムは注目を集めた。85歳の時に官能恋愛小説を執筆するなど生涯“現役”だった。息子はCNNのジャーナリスト、アンダーソン・クーパー。

DJ Official
　6月14日、ロサンゼルス南部の自宅前で射殺され、26歳の若さで死去。クリス・ブラウンやニプシー・ハッスルらヒップホップ界の人気アーティストを支えてきた人音楽プロデューサーで、今年のグラミー賞のベストラップ・アルバム賞を獲得したカーディ・Bの『Invasion of Privacy』の製作も手がけた。犯人はOfficialが乗っていた車の横に自分の車を停め、繰り返し銃弾を放った。まだ捕まっていない。

フィリップ・ゼダール
　6月19日、パリの高層階ビルの窓から誤って転落し50歳で亡くなった。フランス出身の音楽プロデューサー／DJで、99年に「Cassius 1999」を大ヒットさせたテクノデュオ「カシアス」のメンバー。21日にはカシアスの新作アルバムがリリースされ、これが遺作となった。