“ジャニオタ三種の神器”、本当に効果あるの? ウワサのサプリ・ケア用品を医師・専門家が検証
「飲んだら速攻で視界がクリアに」「貼るだけでむくみ解消」――そんな口コミから火がつき、ジャニーズファンに大人気となったサプリメントやケア商品がある。「コンサートや舞台観劇の際に効果を発揮する」と評判の商品は、ファンの間で“ジャニオタ三種の神器”と呼ばれ、わざわざ遠征先に持ち込む人がいるほど。しかし、本当に「飲むだけ」「貼るだけ」で、ウワサ通りの効果が期待できるのだろうか? 医師・専門家が“三種の神器”を徹底分析する。
<その1>足すっきりシート 休足時間
立ちっぱなしのコンサートを終え、むくんだ足に貼ってから寝ると、翌朝「超スッキリする!」と評判の一品。公式ホームページには、「お風呂上がりや寝る前などに貼るだけで、足すっきりさわやか」と書かれているが、本当に“貼るだけ”でコンサート後の疲れは取れるのだろうか? 「女医によるファミリークリニック」院長の竹中美恵子先生が解説する。
医師が解説:「筋肉の疲れからくるむくみ」には効果があるけど……
筋肉量の不足、腎臓や心臓の問題、塩辛いものが好きなど、むくみにはいろいろな原因があり、それぞれ対処法が違います。「休足時間」は“筋肉の疲れ”からくるむくみには効果が期待できそうなので、立ちっぱなしが原因でむくんだ足には効くでしょう。ただし、この商品には“利尿作用”がないので、水分・塩分の摂りすぎによるむくみには、効果がないかもしれません。コンサート後に打ち上げへ行ったとしても、食べすぎ・飲みすぎには注意しましょう。
着圧ソックス・ストッキングの着用や、お風呂で温めてから冷やす“温冷刺激”も、むくみ解消に効果があります。しかし、これはあくまでも補佐的なこと。心臓と足の位置を同じ高さにして寝ると、むくみの原因がなんであれ、筋肉が心臓に向かって血流を戻すポンプ代わりになってくれるため、ある程度は解消できます。長時間立ちっぱなしだったあとは、しっかりと横になって休むことが、一番のむくみ取りになるのです。また、足裏や膝裏にはたくさんのリンパ節が存在するため、ゴルフボールで足裏を刺激したり、膝裏を指で押さえて刺激するだけでも、むくみには効果的。 寝る前に“痛気持ちいい”ツボマッサージをしてから、心臓と足を同じ高さにして寝ることがとても重要です。
■竹中美恵子(たけなか・みえこ)
女医によるファミリークリニック院長。小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。2009年金沢医科大学医学部医学科卒業。以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。2016年12月女医によるファミリークリニックを開業。日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。
<その2>DHC 速攻ブルーベリー
コンサートや舞台が始まる30分ほど前に飲むと、「視界がクリアになる」とウワサのサプリメント。パッケージにも書かれている「溶出スピード約3倍」というのが、素早く効果を感じる理由のひとつのようだが、そもそもサプリメントに“速効性”はあるのだろうか? また、「ブルーベリーは目にいい」ということ自体、本当なのだろうか? 『そのサプリ、危険です!』(経済界)の著者である、予防医療サプリメントアドバイザー・柴田丞氏が解説する。
専門家が解説:ブルーベリーが「目にいい」根拠はない!
まず、「溶出スピード約3倍」というキャッチフレーズが気になります。DHCの公式サイトを見ると、「アントシアニン溶出率の比較」というグラフがあり、60分で約6%しか溶出していない従来品の「ブルーベリーエキス」と比較されています。「速攻ブルーベリー」が60分で約21%溶出されているので、確かに「溶出スピード約3倍」は間違ってないです。しかし、一般的な錠剤の飲み薬は“15分で約80%”溶出する製品が多く存在しているので、60分で約20%の溶出は、かなり遅い。これで「速攻」を冠するのは、勇気があると思いますね。
また、ブルーベリーは“目にいい”というイメージがあると思いますが、「飲む前と飲んだ後で視力がこれだけ良くなった」というような、明確なデータはありません。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、網膜にある物質の再合成を助ける働きがあるものの、それが「どう目にいいのか」はわかっていないのです。ただ、この商品には「ビタミンB1・B2・B6・B12」が含まれており、これは眼精疲労に有効な成分として、“医薬品”の形でも市販されています。
コンビニでも売られている「アリナミンV」は、ビタミンB1・B2・B6を配合している上に“指定医薬部外品”なので、健康補助食品であるサプリメントとは違い、効果・効能が認められた商品です。目の疲れを改善する効果もあるようなので、個人的には「速攻ブルーベリー」よりも、こちらをオススメします。また、目に直接的な効果を求めるのであれば、眼精疲労を改善する目薬をさすのが、最も有効なのではないでしょうか。
■柴田丞(しばた・たすく)
1980年、東京都生まれ。2007年、東京農工大学大学院応用生命化学専攻修了。大手外資系製薬会社アストラゼネカなどを経て、株式会社柴田丞メディカル総合研究所を設立、代表取締役に就任。予防医療サプリメントアドバイザーとして活躍中。著書に『そのサプリ、危険です!』(経済界)がある。
<その3>キレートレモン
クエン酸の効果により、「飲むだけで疲れが取れる」と評判の商品。実際、クエン酸を含むドリンクやタブレットは、スポーツをする人を対象に多数販売されているので、“疲労回復”の効果はありそう。果たして、2時間を超えるコンサートや、長時間の移動を伴う遠征で疲れた体にも効果があるのだろうか? 女性専門の疲労外来ドクターである、「工藤内科」の工藤孝文先生が解説する。
医師が解説:クエン酸は疲労回復に効果あり! しかし“条件”もあり!?
クエン酸が疲労回復に効果を発揮することは、さまざまな実験で、すでに解明されています。「キレートレモン」にはビタミンCだけでなく、クエン酸も含まれていますから、飲むと疲労回復を期待できるのではないでしょうか。ただし、1本・155mlのうち、ビタミンC・クエン酸ともに“1350mg”しか含まれていないという点は、注意しなければなりません。
というのも、クエン酸の疲労回復効果を確かめる実験で、被験者は“2700mg”のクエン酸を摂取し、疲労感の軽減を実感しています。よって、「キレートレモン」は最低でも2本飲まないと、ウワサ通りの効果を実感できないかもしれません。
■工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、NHK『ガッテン!』『あさイチ』、日本テレビ『世界一受けたい授業』、フジテレビ『ホンマでっか!? TV』等、漢方治療評論家・肥満治療評論家として、メディア出演多数。日本内科学会、日本東洋医学会、日本女性医学学会、日本抗加齢医学学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。近著に『疲れない大百科 女性専門の疲労外来ドクターが教える』(ワニブックス)がある。