サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「フェミニストって、なに?」座談会【後編】 カルチャー フェミニスト座談会【後編】 「フェミニストって、なに?」座談会【後編】日常で“違和感”“疑問”を感じたら変わるとき 2019/11/28 21:00 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー とんちんかんな人間にはしつこく問いただす 相川 私は、たまにとんちんかんな人から返信がくるんですけど、基本スルー。リプライする時間がもったいないし、するなら1回500円とか1,000円とかもらいたいぐらいです。 宮越 私は反対にとんちんかんな返信に反論することで自分を訓練しています。個人的な趣味で、「SNS道場」って呼んでいるんですけどね(笑)。常にやっているわけではもちろんないんですけど、「あ、こう言ったら通じるんだ」と発見があるし「次、それをNEW ERAに書いてみよう」みたいな。だから全部私にとっては“肥やし”なんですよ。 赤谷まりえ(以下、赤谷) 「SNS道場」というとらえ方、すごい良いと思う! そのやりとりを見ている外野も「こう返せばいいのか」ってわかったりするよね。 相川 同じ考えを持っている人がいるというアピールにもつながるし、自分は言う勇気がなかった……っていう人の気持ちを代弁することになるかも。ただ、反論する勇気がなくて恥ずかしいと思うことがあるかもしれないけど、別に言えないことが悪いことじゃないと思います。 宮越 まったく悪いことじゃないですね! そこは強調した上で、SNS道場で学んだことですが、自分が伝えたい話を変えられても軸がブレなければ理解されることも多いです。Twitterから少し離れますが、ある男性から制作を依頼されて、材料費以外は対価をもらっていないのに「パトロンだった」と言われて。その男性に「事実ではないし、独立した女性に対して、保護者ヅラしているような態度は侮辱なのでは?」と疑問をぶつけたんです。そしたら、返ってきた言葉は謝罪ではなく「それは女性差別じゃない」という言い訳と言葉尻を捕まえた批判。普段は論理的な思考を持っている人であっても、間違いを指摘されると動揺して、別の話にそらそうとするんですよ。それでも、「最初の質問に答えていませんよね。話そらさないでください」って問い続けることで謝罪の言葉が出てきたので、最初の疑問を何度でも繰り返すことは重要です。この手法は、現実でもネットでも当てはめられるので割と効果があるかなって思ったり。 理解する気がない人に伝える難しさ ――フェミズムの活動をしている中で、なぜ伝わらないんだろう……と絶望を感じる瞬間ってありましたか。 相川 絶望というか、言っても無駄みたいな瞬間はありました。「古き良き日本」っていう文化が残っている会社に勤めている時に、冗談で守衛さんが「早く帰りなさいよ。レイプされちゃうから」って言ってきて。女性の上司に伝えたら「そんなの気にしないで大丈夫よ」って。言っても無駄なんだ……と思ってしまいました。 宮越 確かに女性で「そんなこと気にしなきゃいいのよ。強くなりなさいよ」っていう人いますよね。 KIKI きっとそうしないと生きていけなかったとか、その方が生きやすかったりとか、生き残り術を作った背景があったんでしょうね。切ない。 赤谷 私はとある編集会議で、プライドパレードが話題に上った時、「俺、本当にこういうの嫌なんだよね、ただ騒いでるだけでしょ」と言った男性編集者がいて。なぜ“騒いでいる”のかっていう部分が、大切なのに。セクシュアルマイノリティーがどうしてパレードをするのか、特に疑問を抱かないし、知ろうとしない。そのショックが大きすぎて「パレードには歴史があって、大事なお祭りなんですよ」しか言い返せなくて、すごく落ち込んだことがありました。 宮越 傷ついた方が、説明しないといけないしんどさっていうのは確かにありますね。 ――「騒いでるだけ」は絶望して、対話する気を失いますね。 KIKI 絶望とはちょっと違うかもしれませんが、うちらの親世代(70代)というか50代以降の人と話すと、フェミニズムにかなり抵抗ある人が多いみたいで、この人たちに届けるのは相当な労力がいるなーと思ってますね。 宮越 もちろん、世代でカテゴライズはしたくないんですけどね。前に、「女性差別やLGBTQ差別をやめよう!」という主旨のワークショップに参加した際、60代ぐらいの男性が「勉強しにきました」って話していたのを見たことがある。速攻、失言をして怒られていたけど(笑)。でも、学ぼうって姿勢と叱られる準備ができている場は大事ですよね。 KIKI 親世代の人たちは幼い頃から家庭や社会で「男性は女性を守るもの」「男性が上に立たなくてはいけない」みたいな考えが正しいと言われてきたから。そういう考えを蓄積してきた世代が、私たちに何か言われたからって変わるのはすごく難しいなと思う。私の父も岩みたいな人間なので、動かすことは難しい……。でも身近な存在だからこそ言い続けますけどね。あと、政治家や目に見える権力者に対しては、声をあげ続けないといけないなぁと。 相川 一人一人にわかるまで丁寧に教えてあげる必要もないかなと思う。あとフェミニストの中でも言ってることがちょっと物足りないとか、方向性が違う人っているじゃないですか。そうなると連帯しづらいっていうのもあるんですが、でも、もっと大きな敵に向かって連帯しなきゃって思っています。次のページ 「フェミニズム」は生きやすくなるための道具 前のページ123次のページ 楽天 禁断の果実 関連記事 「男性に簡単に与えてきた愛と許しを、自分に」――いま言動が注目されている若手セレブ・フェミニストは!?アンバー・ローズ、陰毛写真をインスタ投稿で大炎上! フェミニズム活動の一環と本人は主張トップレス写真で大炎上中のエマ・ワトソンが「フェミニズムは、ほかの女性を叩くために団結することじゃない」「ブスだから自信がない」という自由もある――山崎ナオコーラ氏が語る、容姿と自信の関係性「ブスVS美人」は“男”がつくった構図――山崎ナオコーラ氏が語る、美醜問題の元凶とは?