コラム
【連載】オンナ万引きGメン日誌

「このくそババア!」鬼嫁にブチギレられた“万引き老婆”……Gメンとの再会で恨み節炸裂!!

2019/10/26 16:00
澄江

 あれは確か、3年ほど前のことだったと思います。巡回中、豚ロースのブロック肉や明太子、トマト、高級ウインナー、サランラップなどの商品をバッグに隠した彼女が、金を払わずに店を出たところで声をかけると、話を聞く様子を見せずに立ち去ろうとしたのです。

「ちょっと待って。そのバッグの中のモノ、なにも払ってないでしょう?」
「あんた、なんなのよ。あたしは、ここの常連なのよ。そんな言いがかりをつけて、ただで済むと思っているのかい?」

 犯行の一部始終は、この目ではっきり見たので、どんなに否認されても怯むことはありません。爆笑問題の太田光さんにそっくりなマネージャーが、たまたま近くにいたので手を借り、嫌がる老婆を説得しながら引きずるようにして事務所まで連れて行くと、席に着いた途端に不遜な態度で喚き始めました。

「あたしは、この店に何十年も通う上客なんだよ。あんたみたいな下っ端じゃなく、店長を呼んでおくれ」
「店長はお休みで、今日の責任者は私です。おばあちゃんね、あなたは上客どころか、迷惑客ですよ」

 事務的に処理を進めるマネージャーを前に、途端に狼狽してみせた老婆は、使い古されたガマグチから5,000円札を取り出してテーブルの上に置きました。それに併せて、商品を隠したバッグも差し出します。

「ここに入れちゃったから、払うのを忘れちゃったんです。ちゃんと払いますから、これで勘弁しておくれよ」
「盗った量も多いし、警察呼びますね」
「いつも来ているんだから、そんなこと言わないでおくれよ。実は、嫁があたしに冷たくするから、それがつらくてねえ……」

 居直りが通用しないとみるや、嫁にいじめられて毎日が辛いと泣きを入れ始めた老婆でしたが、見るからにクールなマネージャーの心を変えるには至りません。

「雨の日に限って、買い物と子どもの送り迎えを私に押しつけるような嫁なんだ。ロスだ、ハワイだって、自分たちばっかり遊びに行って、あたしは年金すら自由にできないんだよ」

 警察官が到着するまでの間、嫁によるいじめの詳細を涙ながらに吐露し続けた老婆は、警察官の姿を見た途端に態度を急変させます。

「こんなことくらいで警察を呼ぶなんて、ひどいじゃないか。あんたのこと、忘れないからね!」

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