知られざる女子刑務所ライフ76

元女囚が考える「薬物中毒者の親」問題――米『セサミストリート』では子ども番組で依存症を語る時代に

2019/10/20 16:00
中野瑠美

570万人が「薬物中毒の親」と同居

 BBCニュースによりますと、アメリカでは1日に約192人がオピオイドのOD(オーバードーズ、過剰摂取)で亡くなっていて、社会問題になってるんですね。毎日200人近くも死んでて、大丈夫なんですかねアメリカは。ほかの死因で死んでる人はもっといてるでしょうし。そして、なんと約570万人の子どもたち(11歳未満)が、オピオイドほかいろんな「薬物中毒」の親と同居しているそうです。570万人て、ピンときます? 

 編集者さんに聞いたら、「兵庫県の人口が今年の9月1日時点で約540万人だそうです」と教えてくれました。なんと兵庫県民より多いんですね。しかも「子どもと同居してる」中毒者だけですよ? 独居とかの中毒者なら、もっといてるんですね。アメリカ怖すぎます。

 そんなアメリカですから、子どもの番組に、そんなキャラも出てくるんでしょう。でも、これは未来の日本の姿かもしれません。

 親が中毒者の場合、子どもへの影響は育児放棄や虐待、貧困など、いくらでもあります。子どもが一緒にラリっちゃうこともあるでしょうが、ほとんどは不安で孤独でしょうね……。寒くて、おなかもすかせてるかも。そして、そういう子どもたちは、ほとんどが親と同じ道を歩みます。『セサミストリート』の番組も見てみたいと思いました。

 幸いウチは私以外の家族がしっかりしてて、子どもたちに影響はありませんでしたが、服役中は会えませんから、寂しい思いはさせてしまいました。やっぱり違法薬物は百害あって一利なしです。絶対にやめてくださいね。


 田代まさしさんは、薬物に手を出す時に「自分だけは大丈夫(=依存症にならない)と思った」そうです。これは私を含めて、たいていの(元)中毒者が思うことです。覚醒剤と違って、合法のオピオイド系鎮痛剤や睡眠導入剤は密売人から買うリスクもなくて、お値段も高くないのですが、本当にいいことは何もありませんよ。

 今回はちょっと説教くさくなりましたが、違法薬物については何度でも説教くさくいこうと思っています。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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最終更新:2019/10/20 16:00
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