渡辺直美にあって、ゆりやんレトリィバァに“ないもの”とは? きわどい星条旗柄の水着に思うこと
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「日本の方にやられると、若干ショックです(笑)」ゆりやんレトリィバァ
『アポロアマチュアナイトジャパン2019』(10月11日)
2018年12月に『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊り会』(フジテレビ系)が放送された。その名の通り、明石家さんまと女芸人17人が箱根に一泊旅行に出かけるという企画だ。
出演者の一人、ゆりやんレトリィバァは、この旅行の抱負として「ボケ倒す」と宣言する。それはお笑い芸人としてはまったく正しいことだろう。ゆりやんがいいボケをかませば、周囲がツッコむので番組は盛り上がる……そんな相乗効果が期待できる。しかし、実際はどうだったかと言うと、編集されている可能性も捨てきれないが、ゆりやんのボケは数こそ多いが、私には成功したようには感じられず、「しつこい」と感じることの方が多かった。
例えば、ボケ倒したゆりやんが、「アカン、全然ボケられへんかった」とボケて、周囲から「どこがや」という声が上がったシーンがあった。即座にツッコみが返ってきて、盛り上がったという意味では、成功なのかもしれない。しかし、フォーリンラブ・バービーは「むしろ黙っていてほしいくらい」「やりすぎだよ、ちょっと」「おかげで私のファッションチェック、すごい短かったじゃないの」などと訴えていた。「自己アピールを邪魔される」という明らかな不利益をバービーに与えたことから考えると、ゆりやんのボケは共演者にも不評なのではないか。
もちろん、こういうやりとりを「面白い」と思う人もいるだろうが、「ゆりやんは我が強い」と解釈する人もいるだろう。同番組で、さんまが犬にエサをあげるときに、メープル超合金の安藤なつが犬のふりをするボケをかましていたが、ゆりやんは安藤の隣に座りこむ。「ネタ、かぶってるから」とさんまがゆりやんに言ってたのも、他人サマのボケを邪魔するのはルール違反だからではないか。
しかし、空気を読まずに前に行く姿勢は、芸人として大成功する資質とも言えるだろう。ゆりやんは、持ち前の英語力を生かして、アメリカのオーディション番組『America’s Got Talent』に出演。通訳を介せずに、英語でボケて会場を沸かせた。
オーディションには落ちたが、海外のオーディション番組に挑戦するパイオニアとなったゆりやん。日本のオンナ芸人が世界に飛び出すのはいいニュースなはずだが、この番組を見ても、私の感想はやっぱり「我が強い」でしかなかった。