女のための有名人深読み週報

「萬田久子との関係」を暴露された西野亮廣、その狼狽ぶりに見る「性に関する固定概念」

2019/09/26 21:00
仁科友里

「萬田久子との関係」を漏らしたのは誰か?

 9月20日放送の『ダウンタウンなう』で、またもや萬田久子の名前が出てきた。

 この日のゲストは、キングコングの西野亮廣。最近は芸人というより、絵本作家や作家としての活躍が目立つ。西野が書いたビジネス書は累計50万部を売りあげるヒットを記録。絵本の世界にも進出した西野は、『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)をインターネットで無料公開し、業界からは「非常識だ」と非難され、大炎上した。しかし、西野は話題づくりを狙って無料公開したわけではなく、「母親ってお金にそんなに自由がないから、ネタバレしてるもの、面白いという結果が出てるものにしか反応しないんです。ここを突破しようと思ったら、お母さんに家の中で立ち読みをさせて結果を出させてしまった方が、手を伸ばしてくれる」といったセールス上の戦略があったと話す。西野の読みはあたり、絵本は40万部を売り上げ、映画化も決定する。西野の名言として、「過去の常識にしがみつくな」という言葉が紹介されたが、それは彼の重要な戦略の一つだそうだ。

 時代の寵児となり、独身でもある西野は、恋愛を謳歌しているようだ。20代の頃はタレント狙いだったが、今はもっぱら一般人女性狙いで、気に入った女性にインスタグラムを使ってアプローチをしているという。インスタをやっていないダウンタウンや坂上は「へ~」と驚くばかりだが、松本が「萬田久子さんとはどうなってるの?」と急に話を変える。

 これまで冷静だった西野は明らかに狼狽し、「この動揺からすると、何かやってる感じ」と自ら語り、それ以上の弁明はしなかった。松本に「ヘタか」と突っ込まれて、この回は終わりになったが、視聴者の中には、西野と萬田の間に男女の関係があったという印象を持つ人もいただろう。公表していない関係を、含みを持ってバラされたという意味では、萬田、西野双方にとってマイナスだろう。特に萬田はその場にいないので、「言われ損」である。

 萬田、西野は独身だから、二人の間に何があっても問題はないのだが、私が気になるのは、なぜ松本が、萬田と西野の交友を知っているかなのである。二人は週刊誌などで交際が報じられたわけではない。となると、西野もしくは萬田と近しい人が、松本に「二人は親しい」という情報を入れたと考えることはできるはずである。西野側と萬田側、どちらの人間が松本に話をしやすいかと言えば、確率論で考えればお笑いの後輩である西野側と考えるのが自然。“犯人”が誰かはわからないが、最初に西野が誰かにもらしたからこそ、松本の耳に届くことになったのではないだろうか。


 萬田のワンナイト発言に対するダウンタウンや坂上の反応でもわかる通り、女性の場合、モテてもいいが「あやふやな関係でセックスした」という意味の発言をすると評判を下げかねない。しかし、男性が女性とのあやふやな関係でのセックスを第三者に言うことは、自分の魅力を伝えるものだと考えられているのではないだろうか。西野と萬田の関係がどのようなものかは二人にしかわからないものの、松本も「男性側のセックス(を想像させる)話は、ネタになる、面白い」「イメージダウンにはならない」と思っているからこそ、このネタを振ってきたのだと私は感じた。

 昭和後期の女性週刊誌には、美容整形と共に処女膜再生手術の宣伝がなされていた。処女は嫁入り道具の一種なので、処女でなければまずいという考えがあったからこそ、需要があったのだろう。しかし、今、この手の広告を見かけることはない。性の自由化が進み、処女に価値を見出す人が減ったと解釈することもできるだろう。

 しかし、「女性にセックスの体験が豊富であってほしくない」という考え方はいまだ残っているのではないか。萬田の名前を出された時の西野の動揺ぶりを見るに、萬田のイメージダウンにつながることを危惧していたのかもしれないが、違う可能性もある。あやふやな関係でのセックス、しかも相手は有名女優だったため自慢したかった(だからこそ、周囲に漏らす)という面もありつつ、「ワンナイトをさらっと公言してしまう経験豊富な女性」との関係は、自分にプラスにならないと思っている節があったのではないだろうか。「過去の常識にしがみつくな」という革命児・西野でも、性に関する固定観念はしっかりと残っているようだ。

 セックスは相手がいないと成立しないことから考えると、オトコだけが遊んでいるとは考えにくい。現代を生きる女性は遊ぶ男性を選ぶ際、萬田との関係を周囲に漏らしていたのではないか疑われる西野の姿を思い出し、「口の軽さ」をチェック項目に加えたらどうかと提言したい。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。


最終更新:2019/09/26 21:00
西野亮廣独演会
「萬田久子さんとはどうなってるの?」でほかの話が吹き飛んだ