社会には“セックス説教おばさん”が必要――「セクハラ」と「性交渉」の境界線【しみけん×ドルショック竹下対談】
セックス同意書にセクシャルハラスメント……令和の時代に蔓延する“セックスのしづらさ”の原因の根本にあるのは、「堅苦しい社会が悪い!」ではなかった。好奇心とあくなき探究心が、よりよいセックスにダイレクトに結びつくことがわかった前編。後編は、AV男優のしみけん氏と漫画家のドルショック竹下氏が、令和における「セックスの学び方、教え方」について考察する。
前編はこちら:「子育てのようにセックスすべき?」ヤリチンとヤリマンが考察する”令和の性交渉”とは?
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――しみけんさんは新刊『しみけん式「超」SEXメソッド 本物とはつねにシンプルである』(笠倉出版社)を、どんな層を意識して書きましたか?
しみけん 男女とも、読んで嫌な気持ちにならないようにすることを意識したのと、女性なら彼氏に「こういうふうにしてもらいたいな」「面白いから一緒に読もうよ」と渡しやすい本にしたいなと思いました。そうすると彼も、「しみけん、こんなこと言っちゃってバカじゃねえの」と言いつつ、受け入れやすいと思うんです。あと、イラストにすごくこだわっていて、老若男女がわかりやすい作りにしました。
ドル 本の中に「潮吹き=イクではない」と、男性がしがちな勘違いの解説がありましたが、実はわたし、おもらしと似た快楽が得られるので潮吹きが大好きなんですよ。出産後に吹きやすくなり、今じゃセルフ潮吹きも習得しました。でもやっぱり、男性とセックス中に吹くと、「こんなにイっちゃって」って言われちゃう。いや違うんだよ、とは思っても、その場では説明しづらいですよね。最中に、「あのね、潮吹きというのはだね……」と始まると、「なんだこのおばさん」となっちゃう。
しみけん 間違った見解への指摘は、相手を冷静にさせちゃうからね。
ドル だから、そういうことを説明しなくていいように、しみけんさんの啓蒙が世の中に広まってくれると楽なんですよ。同じように、AVで知識を得たように最初から高速手マンをされることがあります。そういうときは、相手の手を押さえつつ「まだ動かさないで」という意思表示をエロく導くことに意識を向けていますね。
しみけん それはエロいやり方。男もうれしいです。
ドル キャバ嬢テクニックと同じですよね。客に太ももを触られたとき、「だーめ!」と言いながら客の手に自分の手を重ねつつ、客の手をホールドするという。内心は、ああめんどくせえ! ですけどね。
――これまでドルショックさんが、「この男性は育ったなあ」と感じた人はいますか?
ドル それまで4、5回ほどセックスする関係の25歳の男性で、経験が少なくて、何をすればいいのか緊張して震えちゃうような人がいました。そんな彼が最終的に、わたしが「今日は生理が終わりかけだから、クンニはしないほうがいいよ」と言った瞬間、迷わずクンニする……くらいには育てることができましたね。
しみけん おお! 相手の喜ぶ姿を見て本人も喜びを感じ、どんどん育っていくんでしょうね。
――お互いの感情表現の応酬は、大切なコミュニケーションのひとつですよね。
ドル どんなシーンでも、コミュニケーションは本当に重要ですよ。元々コミュ力が高い人は、セックスも問題なく一通りできる印象です。