コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験界「大学付属校」人気の落とし穴――「こんなはずではなかった」親たちの強い後悔

2019/09/08 16:00
鳥居りんこ

 もう1人、太郎君(仮名)のケースをお伝えしよう。彼は中学受験でE学園とK大付属に合格した。彼の第1志望校はE学園であったが、「保険」を欲する親の犠牲となり、結果的にK大付属のF中学に入学したのだ。

 母である佐代子さん(仮名)は合格直後、筆者にこう言っていた。

「K大付属のF中よ! ほぼ全員がK大に入れるんだから、安心よね。K大なら、どの学部でもいい!」

 太郎君の現在を、先にお伝えしておこう。彼は19歳で、フリーターをしている。学歴的には中卒である。なんでもK大付属の独特のカラーに合わず、入学当初からの強烈な違和感を拭い去ることができなかったそうだ。

 F中はレポート課題が頻繁にあり、未提出者への指導が厳しいことに定評がある。進級基準に満たない者は中学生であっても、容赦なく「肩たたき」(内部進級・進学ができない)される。

 太郎君というより、佐代子さんが最後まで内部進学にこだわったということが災いして、結果的に他高校の受験に失敗。フリースクールに通ったものの、高校卒業資格は取れていない。

 太郎君が自嘲気味に笑いながら、筆者にこう漏らしたことがある。

「あの時、親がE学園に入れてくれたら、こうはなってなかったっす……」

 「大学までエスカレーター」という点だけに飛びつくのは危険だ。大学付属校はとても魅力的な学校であることは確かだが、こういう「落とし穴」があることも、事前に承知しておくべきだろう。

 学校選びは「保険」を第一にするのではなく、子どもの特性を見て「将来、花が咲きやすいであろう環境かどうか」を一番に考えることが重要なのだ。
(鳥居りんこ)

最終更新:2019/09/08 16:00
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