「“商社のノリ”を教えてあげる」と誘って強姦……“勝ち組”被告の卑劣な手口「準強制性交裁判」
現役バリバリのOBから「もっと仕事のことを教えてあげる」と誘われて、キッパリ断れる就活生は、一体どれくらいいるのか。多くの就活生が「ここで断ったら就職に不利になる」と考え、OB・OGに従わざるを得なくなると、被告は知っていて“利用”したとしか思えません。「商社のノリ」などという謎のローカルルールを行使されればなおのこと、「会社とはこういうものだ」と就活生が錯覚してしまっても無理はない。就活セクハラ・パワハラの卑劣さとは、「自分より圧倒的に弱い立場の人間に向けられる」という点ではないでしょうか。
それと気になるのは、ホテルから出る時に被告の同僚が「これで手を出したら“強姦”だからな」と声をかけていたこと。こうやって釘を打っておかないと、「強姦する可能性があった」とも考えられます。告発されていないだけで、実は常習犯だったのかもしれません。
財閥系商社の正社員という“勝ち組人生”を送っていた被告は、24歳の若さですでに妻帯者。そのせいもあってか、目の当たりにすると30代半ばにも見える貫禄がありました。大学を出て、いきなり人生のすべてを手に入れてしまったことで生まれた過剰なまでの自意識が、被告の風体を作っていたように思えます。
“マッチョイズム”が「#MeToo」を阻む?
この事件と同じ時期に、20代の大手ゼネコン社員による、就活生への「強制わいせつ事件」が明るみに出ました。なぜ今、彼らはこんなことをしてしまったのか。商社と建築、どちらも「男らしさ」「たくましさ」といった“マッチョイズム”が幅を利かせているイメージのある業界ですが、そこで彼らに何が起こっていたのか……。かなり気になるところではありますが、いずれの被告にも病識がなく、情状酌量の余地もなし、さらに罪状をすべて認めているため、引き換えに被告の背景について明らかにされない可能性が高くなりました。
「#MeToo」運動などで世界的潮流になっているセクハラ撲滅の機運は、まだまだ一部の盛り上がりに過ぎないのかもしれません。この出来事がフラッシュバックし、日々の生活もままならないというAさん。想像して余りある苦痛です。前述の大手ゼネコン社員による強制わいせつ事件は、すでに「不起訴」の判決が出ていますが、今回の事件でも、弁護側は示談を申し込んでいるそう。「魂の殺人」とも呼ばれる強姦。被告にはどうか、厳しい判決が下ることを願います。
(オカヂマカオリ)