本当は怖い「熱中症」を医師が解説――対策は「涼しくなる秋まで」「エアコンは26~27度程度」
そんな熱中症だが、星野氏いわく、「ニュースなどでもよく取り上げられてますが、ここ数年明らかに夏場の気温が上がっているようです。湿度の高まる梅雨時から、涼しくなる秋まではいつでも熱中症になりうると考えられます」といい、引き続き熱中症対策は大切と言えるだろう。
なお、熱中症には「なりやすい人」と「環境」があり、「厚生労働省の指摘によると、熱中症の発生特徴に関しては、『1. 高齢者が急増』『2. 高温多湿の日(高温の日が続く)に多い』『3. 高温の年は高齢者が多い』『4. 急に暑くなった時期に多い』『5. 高齢者は家庭内で、成年は職場で、 若者は運動時に、乳幼児は車内で発症』などが挙げられています」という。こうした特徴を見るに、「熱中症患者の半数は、特に運動時などではない『日常生活』の中で発症していることも留意すべき点です」と星野氏は言う。
では、日常生活の中で、何に気をつけるべきなのだろうか。
「健康な成人の方でも、運動時に水などばかり飲んでいて、塩分やミネラルが足りないと体内では『脱水』状態になってしまいます。また、風邪や胃腸炎、二日酔いなどの際も脱水になりやすいため、普段以上に『塩分』と『水分』の摂取を心がけるようにしてください。特に熱中症に伴い脱水になると、お小水の回数も極端に減りますので、自ら脱水症に気づく目安となります」
また、就寝時など、室内で熱中症になるケースも見受けられるというが、その際、気になるのがエアコンの使い方だ。
「特に高齢の方などはエアコンを極端に使わない方も多いように感じますが、ここ数十年で日本の環境もだいぶ変わってしまっていますので、エアコンの風が『直接当たらない』ようにしながら、推奨されている『26~27度程度』の温度管理は必要かと思われます」
さらに、クーリング(体を冷やす)の際にもポイントがあるといい、「『太い血管を冷やす』イメージが重要です。おでこなどよりも、首や脇など、太い血管が比較的浅い部分に通っている部分を氷のうなどで冷やすと、血液の温度が下がり、全体的に体温も冷えていくと言われています」という。
天気予報を見ていると、今後も厳しい残暑となる日がありそうだが、完全に涼しくなるまで気を抜くことなく対策を講じていきたい。