海外
移民失敗と名高いスウェーデンの闇

スウェーデンで黒人差別のため(?)に拘束されていたエイサップ・ロッキーが、ようやく釈放される

2019/08/05 18:44
堀川樹里
暴力は処罰されるべきだけど、ここまでスウェーデン側があからさまだとは……

 出演する音楽フェスのために滞在していたスウェーデンで、散策中に若い男たちにからまれたラッパーのエイサップ・ロッキー。執拗につきまとう男たちにエイサップの堪忍袋の緒が切れ、彼らをボコボコに殴る動画が7月1日に流出した。翌日、エイサップはフェスに出演してから自主的に警察に出向いたところ逮捕され、劣悪な環境の中で長らく拘束されていた(既報)。           

 過去に誤認逮捕されたスヌープ・ドッグ、また逮捕されそうになったヒップホップトリオ「ミーゴス」のクエヴォは「スウェーデンは黒人差別する国」と断言し、「二度と行かない」と宣言。一方、白人ラッパーのG・イージーはコカイン所持罪と暴行罪で逮捕されたにもかかわらず、たった1日半で罰金と慰謝料を払って釈放され、イージー本人もスウェーデンには「明らかに白人優遇があり、人種差別が根付いている」とインスタグラムで発言した。このように、事件にはスウェーデンにおける人種差別が影響していると考える米国人は多く、SNSではエイサップの釈放を求めるハッシュタグ運動が起こったり、オンライン署名活動も行われたりと、大きな社会問題となった。

 7月30日にはスウェーデンで裁判がスタート。エイサップの弁護士は「正当防衛であり無罪だ」と主張した。一方、証言台に立った被害者は、「エイサップと取り巻きの男たちに暴行されている時は、殺されると思った。今も悪夢にうなされる。手を負傷したため、仕事もできない」「自分が薬物でハイになっていたという報道があるが、それは事実ではない」と訴えた。

 裁判2日目の8月1日には、エイサップが証言台に立ち、「被害者だと主張する男性に執拗につきまとわれたので、『やめてくれ』と懇願した。でも彼はつきまとい続け、あまりにも話が通じないので、薬物でハイになっているのだと思った」「取り巻きたちと一緒になり、暴力を加えたのは認める。何を言っても通じない不気味な男がボディガードを殴るのを見て、守らなければと手を出した」と正当防衛を主張した。最大の争点となっている「エイサップがガラスの瓶で被害者を殴ったか」という点については、「自分は瓶など手にしていない。取り巻きが瓶を手に持ち、『あいつら(被害者グループ)を連れてこい』と言ったのは認める」と否定。

 検察官は「エイサップのアシスタントのメールには、エイサップが瓶で被害者を殴ったこと、またその様子を映した動画が削除されたかどうかを心配していることが書かれている」と詰め寄ったが、エイサップは一貫して「自分は瓶など手にしていない」と主張。

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