カルチャー
「自衛隊プレミアムボディ」潜入

チケット完売、マッチョ自衛官120名のNo.1決定戦「自衛隊プレミアムボディ」に潜入

2019/08/05 18:30
石徹白未亜

 イベントで残念だった点を挙げるとすると、出演者がビキニではなく写真の通り、ボクサーが穿いているようなゆとりのある水着着用だったことだろう。あいにく私はこの方面には明るくないが、こういった界隈のフェティシズムの方々にとっては、やはり三角ビキニの方が“萌え”なのではないだろうか。ビキニ着用は国家公務員法に抵触してしまうのかもしれないが、来年以降の攻めに注目したい。

かぶりついて眺める女性ファン

 また、審査方法は極めてシンプルで、出演者がいくつかのポーズを決める予選→審査、また同じポーズを決める決勝戦→審査という構成だった。マッチョ隊員に対し、「一番感動した映画は?」「好きな食べ物は?」といったベタな質疑応答があることを期待したのだが、153名を審査しなくてはならないため、そんな余裕などないのだろう。好きなプロテインの味をはにかみながら答える若手自衛隊員をニヤニヤ堪能したかったのだが、このあたりはアイドル性を求めてきている私の方が邪道な楽しみ方であり、“肉”だけを審査する上でそんな「雑味」は不要なのかもしれない。

 なお、審査の際に隊員たちが決めるポーズは前、後ろ、横で筋肉を決めるポーズ以外に、自衛隊員ならではの「敬礼ポーズ」もあり、それまで笑顔でポーズを決めていた隊員も敬礼ではキリっと真面目な顔になるのはグッとくるポイントだ。

主催は自衛官のお見合い企画会社

 こういった筋肉美を競うコンテストを生で見るのは初めてだったため、果たしてどの肉がいい肉なのか、最初はさっぱりわからなかった。それでも決勝進出者が選ばれてくるころには、徐々に「筋肉眼」が培われ、「エントリーナンバー〇番はクるな……」と、素人目にもわかってくるのが楽しい。オリンピックでなじみのない競技を見ているうちに、だんだん面白さがわかってくる、あの喜びだ。

タイプの違うイケメンがそろった、海上自衛隊トップ5。ユニット名は「護衛艦むらさめ」でお願いしたい

 海上自衛隊の上位5名に選ばれた隊員は、可愛い童顔から色気ある大人顔までタイプの違うイケメンがバランスよく揃っており、「あれはユニットが組める」「カレンダーを出したら売れる」「それならユニット名は『護衛艦むらさめ』で」とキャッキャ言いながら見るのも楽しい。

 153名の中から栄えあるグランドチャンピオンとなった航空自衛隊・冨菜政次さん(35歳、顔もイケメン)の肉体は見事の一言だ。選ばれて感極まってうずくまっていたときは、その筋肉でもりもりと凹凸あふれるフラット感ゼロの背中は、ロダンの彫刻「考える人」のような陰影をもっていた。冨菜さんと「護衛艦むらさめ」がイベントで組むときは、空自と海自の共同作戦、ということでユニット名は「空母」でどうだろうか。

陸上、海上、航空自衛隊トップの3名。

 なお、このイベントを主催する株式会社フュージョンアンドリレーションズは、普段は自衛隊員とのお見合い企画を行っているという。同社広報であり、元自衛官の板津近良氏いわく「自衛隊員は出会いがなかなかなくて」とのこと。

 ちなみにこれを書いている私も父親が元自衛隊員なので、結婚相手としての自衛隊員についてメリットを挙げると、「国家公務員である」「手ごろな家賃の社宅っぽいもの(官舎という)に家族は住める」「家族も行ける専用の病院があり通常の病院より空いてる」「年金がちょい高め」などがある。あと、全員マッチョではないが体が資本の仕事なため、一般社会の男性たちよりははるかに体脂肪率低めなのもポイントだ。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

最終更新:2019/08/05 20:18
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