嵐活動休止後の2021年以降が勝負――滝沢社長の「ジャニーズJr.戦略」が見据えるべきモノ
7月9日に創業者であるジャニー喜多川社長が死去し、ジャニーズ事務所の今後に世間の注目が集まっている。前編では、企業コンサルタントの大関暁夫氏にジャニー氏の後継者である滝沢秀明氏がこれから取り組むべき課題について話を聞いたが、一方で気になるのが、次期社長となる見通しの藤島ジュリー景子副社長についてだ。先代では、ジャニー氏がジャニーズJr.の発掘と育成、メリー喜多川副社長が経営を担うという2トップ、またその下で、ジュリー氏と2016年に退社したSMAPの元チーフマネジャー・飯島三智氏がデビュー組のマネジメントを行うという体制が敷かれてきたが、現状ではジュリー氏がデビュー組を、滝沢氏がJr.の統括を行っているとされる。大関氏は今後、「ジュリー氏は経営に集中した方がいい」というが、その真意と、滝沢氏に対するスタンスについて見解を語ってもらった。
ジュリー氏は経営に集中すべき理由
――滝沢氏がジャニーズJr.の売り出しを推し進める中、ジュリー氏は社長の座に就任するとみられています。
大関暁夫氏(以下、大関) 今後は、ジュリー氏がCEO(最高経営責任者)、滝沢さんはCOO(最高執行責任者)になるのではないかと思っています。ジュリーさんはCEOという立場上、現場の責任者として売り上げを伸ばそうとする滝沢さんのことをしっかりチェックし、時には意見をする必要もありますが、「出過ぎたマネをしない」のが大事。COOの権限に独立性を与える――つまり、意見はしてもいいが、それを受けて考えるのは滝沢さんに一任する、勝手な判断で「このプロジェクトはストップして」などと言わないことです。
――いかに滝沢氏を尊重できるか、ということですね。
大関 ジュリーさんはマネジャー経験がありますし、また母親のメリー氏の仕事ぶりを間近で見てきたはずなので、経営についてもある程度はわかっていると思います。SMAP解散騒動によって、ジュリーさんに漠然と良くないイメージを抱いている人も多いと思いますが、ジュリーさんには、経営者としての立ち位置を明確にし、それを周りに理解してもらうべく、行動に移していってほしいですね。
――ただジュリー氏は現状、デビュー組のマネジメントも行っている状態です。もしジュリー氏が経営に集中するとなれば、誰がデビュー組を見るのかという問題も浮上します。
大関 ジュリーさんの執行面でのサポートを誰が担っているのか、また今後は誰が担うのかは大きな問題ですね。もし後任を選んだのであれば、ジュリー氏はその人物にも、やはり「余計な口出し」をしてはいけません。CEOとCOOを兼務するなんていうのは無理な話ですし、会社がおかしくなることにもつながるので、避けるべきだと思います。
――これまでの現場の権限を譲っていくということでしょうか。
大関 そうです。いつまでも「マネジメントの親玉であること」に固執しないことです。経営を担うと、刻々と変わる現場の状況がわからなくなってくる。にもかかわらず余計な口出しをすると「知らないくせに勝手なことを言っている」と現場の人間から反感を買いかねません。