ZARAが抱える2つの地雷――「日本ではユニクロに勝てない?」「パクリ問題連発」好調の裏側
次の懸念材料は、「パクリ訴訟」による相次ぐ敗訴です。ZARAの商品企画は、有名ブランドのデザインを巧みに、良く言えばインスパイア、悪く言えばパクるところに特徴があります。これまで、業績の好調ぶりが騒がれる裏側で、数々の著名ブランドとの類似が指摘されてきたのです。
ZARAは昨年11月、我が国のデザイナーブランド「ザ・リラクス」に、フード付きコートのデザインを完全コピーされたとして裁判を起こされ敗訴。東京地方裁判所から1041万7282円の支払いを命じられました。またイタリアのOTBグループからも、ブランド「Diesel(ディーゼル)」のジーンズ「Skinzee-SP」と「Marni(マルニ)」のサンダル「Fussbett」を模写されたとして、15年にミラノの裁判所に提訴され、3年後の18年7月に敗訴となっています。
この2件以外でも、これまでZARAによる「デザインのパクリ疑惑」は、常にファッション業界人やネットユーザーから指摘され続けてきました。トレンド分析を速く正確に行うにあたって、ZARAはコレクションブランドや著名ブランドの商品動向に四六時中目を光らせており、「イケる」と判断した商品を、ほぼそのままコピーすることも、決して少なくはないのではないかと言われているのです。
ファッション業界は、基本的に「パクりパクられ」の連鎖ですから仕方がない一面があるとは言え、ファッションブランドの知的所有権保護が強化される状況下では、今後、これまでの商品デザインの手法は通用しにくくなる可能性が高くなると考えられます。
世界的には、ZARAの強さは今後しばらく続くとされています。また、我が国の市場でも急激に衰えることはないでしょうが、これらの懸念材料が影響し、今後のさらなる大幅拡大は期待できないと予想される状況にあるのは事実。日本では、一定規模を維持した「外国のオシャレブランド」として、現状維持が続くのではないでしょうか。
(南充浩)