角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第187回

【人気私立小を大分析】「生きる力」を培う東京農大稲花と、国際バカロレアで実績を積む玉川学園がおすすめ!

2019/07/20 17:00
角川慶子
体験型を謳う私の園では、日照不足に負けず、伸び伸びとした作物が収穫できました。給食のカレーに入れて、おいしく食べることができ、畑学習を行って良かったなと感じます

 今回のテーマは、共学のおススメ小学校。私自身、経営する保育園の理念として、「本物に触れる」ことを大事にしています。なので、受験校(私立小学校から中学受験させる学校)ではなく、体験型の授業を多く行っている学校が好みです。

 私の考える「生きる力」とは、自分の手で作物を育て、収穫、加工すること。もし日本が大きな震災などで流通がストップする状況になったとしても、火をおこしたり、自生している野草から食べられる食材を見分けたり、どんな状況下でも「生きる」ことができるような人間を作ってくれるような学校がいいなと思っています。「駒沢の森こども園」「衾の森こども園」の保護者も私の考える理念に賛同されている方ばかりなので、正直、受験校がかぶってしまうことが多く、特に来年度はお受験ドラマがおこりそうです。

保護者の作文がある東京農業大稲花(とうか)小学校

 今年4月に開校した新設校ですが、東京農大との連携があり、リアリティのある体験型の授業が受けられます。田植えをする小学校はごまんとあるのですが、収穫、加工まで行うのは、元祖・体験型の玉川学園と農大稲花しかありません。実は2年前、農大稲花開校のニュースがお教室業界を駆け巡った時、最初に食いついたのは私でした。その時は誰も興味を持っていなかったのですが、「うちの子たち(園児)向き!」と感じ、すぐに見学(とはいっても建設中)や農大の調理室などを見せてもらい、先生たちの「どんな小学校にしたいか」をたくさん聞かせていただきました。

 「絶対人気になる」と思っていたら、案の定、倍率10倍の人気校として開校することになったのです。試験日は3日の中から希望日を申し出ることができるので、慶応横浜初等部や早稲田実業初等部と併願して受験する子が多かったことも、人気の理由。新設校は受験料が大きな資金源ですし、第1希望の農大ラブの子+慶応横浜を狙える学力のある子が入学すれば、将来、農大へ進む子、外部有名大学へ進む子がいて「実績」となるので、学校としてもいい判断だったと思います。

 試験の特色は、保護者のテーマ作文があるところ。慶応幼稚舎も慶応横浜初等部もテーマ作文はあるのですが、福沢諭吉先生の読書感想文なのに対し、稲花小の今年度の入試では「子どもを育てる上での小学校の役割と家庭の役割」がテーマでした。作文を通し、保護者のモンペ度を測っているかのような内容ですね。


 ペーパーはかなり難易度が高く、慶応横浜初等部に似ている気がします(点図形、水面など)。お話の記憶問題では、3家族でお買い物をするという内容ですが、トラップとして、1家族は外国人ファミリーでした。外国人名が人の名前だと理解できず、間違えた子も多かったようです。あとは行動観察、指示体操とオーソドックスな入試問題かなと思います。

首都圏・東日本国立・私立小学校進学のてびき(2020年度版)