“スピリチュアル営業”はなぜ許される? 吉本芸人が「宗教の広告塔になる」罪深さ
誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。
令和初めての梅雨入りと時を同じくして、雨上がり決死隊・宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号・田村亮さんら、吉本興業所属の芸人が、反社会的勢力が主催するイベントに出演していた「闇営業」で、世間を騒がせました。宮迫さんらは当初、反社会的勢力からの金銭授受を否定しましたが、後に一転して認めたことが、事態を悪化させた要因だと思います。このあたりの批判はすでに多数出ているので、私からは今回言及しません。
「闇営業」というと、“裏社会”とのつながりをイメージしがちですが、その定義は「所属事務所を通さずに仕事をすること」だそうですね。これを聞いて、すぐに思い浮かべたことがあります。それは、吉本興業所属の芸人による「スピリチュアル営業」です。私が観察を続けている界隈のイベントに、これまで複数の吉本芸人が出ていました。あれって、事務所は把握していたのでしょうか……?
前回も紹介した「スピリチュアリスト」のhappy(現在は「さちまる」「竹腰紗智」に改名。以下、元happy)は、定期的に「イメージが降りてきた」などと言いながら、自身の支持者を集めて大規模なイベントを開催しています。そのイベントに出演する“ゲスト”の手配に重要な役割を果たしていると思われるのが、吉本興業に「文化人」として所属している、旺季志ずかさんです。本業は脚本家で、公式プロフィールには「心屋リセット心理カウンセラー」「ヒプノセラピスト」の資格があると紹介されています(それって、吉本的には公にアピールするものなんだ!?)。
そんな旺季さんは、2018年4月16日に更新された自身のブログで、アイドルグループ「吉本坂46」のオーディションにて、「隣に座ったことから始まった おそるべきシンクロニシティで」吉本所属のピン芸人・なだぎ武さんと飲み会を開いたと明かしています。その後なだぎさんは、昨年4月に開催された元happy主催のイベント「第2回シンデレラ・プロジェクト」で司会を担当。このイベントは、グランドプリンスホテル新高輪で盛大に行われ、元happyと仲良しのタレント・小林麻耶さんが奇抜なドレスを着て、嬉々とした表情でランウェイを歩いたことで話題になりました。舞台上で麻耶さんに抱きつかれるなだぎさんの写真も、ネットに転がっています。吉本所属のお笑いコンビ・ダイノジの2人も、会場で軽快なDJを披露し、参加者を盛り上げていました。
ダイノジは昨年10月に長崎県壱岐島で行われた「縄文祭」にも招かれています。これも、壱岐市の観光大使を務める元happyの主催イベント。島におよそ2,000人を集め、深夜まで騒音を出し、会場となった公園の芝生を荒らしたことで住民から怒りを買い、市議会で問題視されたことは前回も述べました。さらに、今年5月に旺季さん主催で、元happyも登場した「ええじゃないか文化祭」は、吉本所属の若手コンビ・ラフレクランがMCを担当。同じく吉本所属・プラスマイナスも出演し、漫才を披露しました。旺季さんが書いたお芝居を、なだぎさんと元happyが熱演する、なんてコーナーもあったようです。
なだぎさんは、闇営業騒動で所属事務所が揺れていた6月27日、自身のTwitterに「今月の給料を確認。。地獄過ぎて笑うことも泣くこともでけへん、、来月はとりあえずバナナで乗りきります。皆様、もし私を街で見かける事があれば、エサを与えて下さい。。」と、投稿していました。吉本興業は、報道でも取り沙汰されるほど“薄給”な芸能事務所だといいます。前述のイベントに参加した芸人さんたちが、報酬をもらっていたかどうかは確認のしようがありませんが、彼らを取り巻く人々が反社会的勢力の一員だったら、宮迫さんらのように明確に“クロ”として厳しく処分されたはずです。しかしスピ界隈は(裏に何がいるかは知りませんが)、仕事上の関わりとして、“クロ”だとまでは断定しにくいのでしょうね。芸人さんたちは、オファーを受けるのが「悪いこと」とは思わなかったのでしょう。では、何が問題なのか。考えてほしいのは、“この界隈がどのように商売をしているか”ということです。