【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

“スピリチュアル営業”はなぜ許される? 吉本芸人が「宗教の広告塔になる」罪深さ

2019/07/10 21:00
黒猫ドラネコ

いつの間にか“広告塔”になっている罪深さ

 スピリチュアルな“教祖様”は、SNSを駆使し、「意識はいつも自分の内側」などとよくわからないことを言いつつ、主に若い女性の心を操り、「あなたも幸せになれる」「創造の目撃者に」と大げさに煽って熱狂させ、高額な物を売るビジネスを展開しています。元happyも、このお決まりの手法を利用し、若い女性から支持を得ました。「第2回シンデレラ・プロジェクト」は、素人のダンス大会や、素人のファッションショーがメイン。この舞台を見るのに、なんと最低でも3万円のチケット代が必要でした。「縄文祭」なんて、3万3,000円のチケット代が含まれた、8万8,000円のプランまで登場。島への旅費や宿代が含まれているのかと思いきや、もちろんそんな財布にも人にも優しい配慮など皆無で、例えば参加者は“寝袋で野宿”を勧められていたのです。一般的な感覚ならこれが「高い」と思えますが、宗教的なやり方で説得力を持たせ、信者に支払わせるのが“教祖様”。華々しくステージに上がった吉本芸人たちは、教祖様の信用を強固にし、このビジネスへの違和感を薄れさせる役割を担ってしまったと、私は考えます。

 元happyらが、根拠のないものを「布教している」のは、調べればすぐにわかるはずです。素性を隠す反社会的勢力とは違い、彼女たちは自ら発信しています。テレビ業界では、新興宗教やオカルトの類いの取り扱いについて、コンプライアンス意識が強くなってきているはずです。「精神世界」だの「宇宙からのエネルギー」だのと言って客寄せをする“宗教的なもの”に、お墨付きを与えるような“自覚なき”加担も、芸能人・著名人には慎んでほしいのです。「有名な人を呼んでハクをつけたい」「人脈をアピールしたい」という動機は、怪しいスピ集団も、反社会的勢力も変わりません。軽はずみにオファーを受けることによって、いつの間にかスピリチュアルの “広告塔”になってしまう。この罪深さは、著名人個々人や、芸能事務所がきちんと理解するべきではないでしょうか。

 闇営業問題をクリアにするには、どのような依頼主のイベントに所属タレントが出演しようとしているのか、事務所がしっかり見極めなければいけませんよね。それに加え、「反社会的勢力じゃないからセーフ」なのかどうかも、ぜひ考えていただきたいと思います。怪しいスピリチュアルに依存し、一般社会と乖離することを誇りながら、大金をつぎ込む人たちがいます。「芸人さんがイベントに出ていたから」「タレントさんが信じている思想だから」と新たな世界を知り、一歩踏み出してしまう人がいるかもしれない。そうして信者の人口が拡大する可能性は、ゼロではありません。社会問題として認識された時に、「素性がわからなかった」では、闇営業騒動から何も学んでいないことになります。今のうちに対策を練っておくことを、強くおすすめします。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)


最終更新:2019/07/18 18:30
泣かせてくれよ (なだぎ武盤)
いいように利用されてるだけだって、早く気づきな