『ザ・ノンフィクション』彼女から目を離せない理由「ワケあって…坂口杏里」
NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。6月30日放送のテーマは『ワケあって…坂口杏里』借金、AV、芸能界引退発表からの復帰など、あわただしい半生を送る坂口杏里の今を追う。
あらすじ:あわただしい人生を送る坂口杏里の「今」
女優・坂口良子の娘として17歳で芸能界デビューをした坂口杏里。おバカ系タレントとして人気を博するが、2013年に母が亡くなり、ホストクラブ通いから借金、AV出演、交際相手のホストとの金銭トラブルから恐喝未遂と生活は荒れる。現在は、借金の返済のため夜の仕事を行いながら芸能界復帰を目指している。そんな坂口杏里の今を『ザ・ノンフィクション』の女性ディレクターが見つめた。
杏里の「ワケ」を年表で見る
28歳にしてすでに常人の数倍は「ワケ」を蓄積させている坂口について、番組等を参考に年表を作った。
1991年 誕生
94年 両親が離婚
2008年 芸能界デビュー。母であり女優の坂口良子はバラエティで「親子売り」に精を出し娘の売り込みに励む
13年 坂口良子死去。その後ホストクラブ通いが始まる
16年 AVデビュー
17年 交際相手のホストとの金銭トラブルにより恐喝未遂容疑で書類送検(のちに不起訴)/自身のSNSで芸能界引退を発表
18年 浅草ロック座でストリッパーデビューの予定も、直前降板。マスコミでは坂口杏里のドタキャンという論調で報じられたが、本人は『ザ・ノンフィクション』内で否定。
番組によると18年6月時点で借金は1300万円以上。現在は夜の仕事をしながら芸能界復帰を希望しており、番組の最後では他番組に一部出演する姿も映されていた。
杏里から目が離せない人がこれだけ多い理由
番組を見ていて、杏里は「自分がどうなりたいか」が自分でもよくわかっていないのではないかと、もどかしかった。「芸能界に復帰したい」とは番組内で本人も話しており、それは明確な意志なのだが、一方で、どういった芸能人になりたいのか、具体的にどういう人が目標で、ライバルは誰なのか、どんな番組に出たいのか、という具体像は見ている限りまったく出てこなかった。
音楽をやりたいとバンドメンバーを公募したものの、番組内のライブで歌っていたのはカバー曲であり(オリジナル曲を放送してくれなかったのかもしれないが)、坂口良子の大ファンである杉作J太郎に呼ばれてイベントに参加し、盛況だったものの、その後の放送を見る限り「サブカルおじさんにターゲットを絞った」というふうでもないように見える。
イベント内で杉作は「(マスコミの記事に)山ほど坂口杏里って名前は出てくるんだけど(そこに)あなたの意見は載ってないじゃないですか。それがもうかわいそうで」と話していた。杉作の言葉は優しい。当然、杏里にもマスコミへの意見はあるだろう。しかしそれ以上の、「私はこういう芸能人になりたい」という意志が番組を見る限り見えないし、本人にも具体像が見えてないように感じるのだ。番組の最後で母・坂口良子の命日に墓前で報告した際も「頑張る」「一所懸命」という言葉は頻出するのだが、「何を」「どのように」頑張るのかは出てこなかった。
これでは気持ちばかりが空回りする日々が続いてしまう。番組内で、杏里はいつもYouTubeを見ていると話していたが、動画を見る時間で自分の今後を考えてほしいともどかしくて頭を掻いていたら、視聴者の気持ちを代弁するように「今の彼女を見て迷走していると思う人は多いと思います。それでも、生きることすらを投げ出そうとした時期を乗り越えて、迷いながらも走る姿を応援したい、これが私の正直な気持ちです」とディレクターのナレーションがあり、ハッとした。