芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』整形オーディションで整形しないという決断「シンデレラになりたくて…2019」

2019/06/24 17:35
石徹白未亜

 「顔」は美において残酷なほど重要な要素だが、一方で立っているときや歩いているときの佇まいも、美しさの大切な要素の一つだろう。今回の番組を見ていて、麻莉亜の「立っている姿や歩く姿」は頭一つ抜きん出て美しかった。

 麻莉亜は小学校から高校まで新体操をしていたのだ。インターハイ出場経験もあり現在はコーチもしている 。もともとのスタイルもいいのだが、佇まいもしなやかで美しかった。綺麗な身のこなしを競技生活の中で叩き込まれ、何度も何度も体に染み込ませていったのであろう年月を感じさせた。

 前週登場した、モデルを目指す叶華もアイドルをしている七海も「見られる自分」への意識は普通の女子よりあるだろうし、所作にも人一倍気を配っているだろうが、麻莉亜には年季の違いを感じた。コンプレックスがあると、つい目、鼻、口などその部位に意識が行きがちだが、他人の目にまず入るのは、もっと「引き」の、面積の大きいものだ。その人を表す一番大きな面積を持つ「姿勢」は、しみじみと大事だと思う。

 ところで、前後編と番組を見ていて一つ心配だったのが、「せっかく無料で手術ができるのだし」といった思いから、整形が必要以上にエスカレートしないかという点だ。企画がそもそも『整形シンデレラ』である以上、歯の矯正のみといったマイナーチェンジだけの志願者はおそらく選ばれないだろう(歯だけなら、そもそも矯正歯科のモニターという手もある)。

 次回の『ザ・ノンフィクション』は『ワケあって…坂口杏里』。まだ28歳なのに「ワケあって」という言葉がこんなに似合う人を私は知らない。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

最終更新:2019/06/24 17:35
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