コラム
世界的に支持されているけれど

無印良品の衣類は「本当に良品」なのか? 「夏の麻素材服は微妙な出来」と専門家解説

2019/06/25 16:30
南充浩
無印良品公式サイトより

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 国内の衣料品消費市場が縮小する中、海外市場へ参入する大手ブランドが増えました。実はワールドやイトキン、オンワード樫山などの大手アパレルは90年代後半から中国市場へ進出していましたが、いずれも成功せず、2010年頃から再進出しているというのが実情です。

 そうした中にあって、海外で最も成功している国内ブランドがユニクロと無印良品。無印良品は、百貨店ブランドやDC(デザイナーズキャラクター)ブランド全盛期の1980年に誕生しました。当時は、ある程度お金を出さなければ、“まとも”な洋服は買えなかった時代。もちろん、ダイエーやジャスコ(現イオン)などに代表される大手総合スーパーマーケットには低価格商品が数多く並んでいましたし、鈴屋や鈴丹、リオチェーンなどの大手低価格カジュアルチェーン店も数多く存在していたものの、いずれも、デザイン、シルエット、生地の品質、色柄……どの項目でもブランド物に遠く及んでいませんでした。トレンドという情報源は同じでも、それを再現するノウハウ(生産背景も含めて)が、ブランド側に囲い込まれていたからです。

 そういう状況下で、無印良品は「わけあって、安い」をキャッチコピーとして、ブランド物と低価格衣料品の中間的な存在として生まれました。

 現在、かつての大手低価格カジュアルチェーンの多くが消え去りましたが、90年代後半からユニクロが伸び、それに追随してさまざまな低価格ブランドが誕生。しかし、いずれも80年代、90年代の低価格衣料品に比べると、はるかにデザイン・シルエット・色柄はマシになっています。生地や縫製の品質はイマイチな場合もありますが、トレンドの再現性で言えば「ブランド物」とあまり遜色なくなっています。

 そうした中においては、無印良品の服は「地味」に見えます。ユニクロと同じくベーシックカジュアルに分類されると思いますが、よりナチュラルテイストが強く、色バリエーションもユニクロに比べると少なく、だいたいどのアイテムも3~5色程度となっており、その色も白・黒・紺・グレー・ベージュのベーシックカラーがほとんどなので、服そのものだけでなく店頭も地味な印象です。

 また値段もユニクロに比べると、アイテムにもよりますが、だいたい平均的に1,000~3,000円くらい高く設定されています。決して高くはありませんが「激安」というわけでもありません。

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