サイゾーウーマンコラム破綻寸前でも母を手放せない娘 コラム 【老いてゆく親と向き合う】 介護施設は虐待が心配――生活が破綻寸前でも母を手放せない娘【老いゆく親と向き合う】 2019/06/16 19:00 坂口鈴香 老いゆく親と、どう向き合う? “「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社) そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。第4回では、介護休暇を取りづらくなった福田さんの話を紹介した。仕事と介護の両立は簡単なことではない。今回は介護離職が目の前に迫っている女性から話を聞いた。 休暇制度はすべて使い果たした 斎藤雅代さん(45)は、介護離職ギリギリのところにいる。 「昨年1年間で有給休暇と介護休暇、会社独自の休暇制度は全て使い切りました。うちの会社は比較的、このような制度が整っているのですが、それでも母を介護するには全然足りません。今年も、すでに有給も介護休暇も使ってしまいました。上司からは、『これ以上休みが続くと、会社としてもあなたを守り切れない』と言われています」 斎藤さんは独身。両親とやはり独身の弟がいるのだが、その弟も精神疾患で仕事を辞め、療養中だという。80代の父親は要介護認定は受けていないものの、高齢で足腰が弱ってきている。母親は要介護4。脳梗塞で半身まひ、言語障害があり、認知症も進んでいる。 「自宅は古くて狭いうえ、父親と弟がゴミをため込んでいて、車いすの母親が生活できる状態ではありません。そのため、近くにアパートを借りて母と私はそこに住んでいます」 母親は週5日デイサービスに通っているが、朝は朝食を食べさせ、様子を見てから出勤する。体調が悪ければ病院に連れていくので、会社を休まざるを得ない。出勤できても、会社に着くのは昼近く。フレックス勤務が可能とはいえ、それから8時間働くと終業は午後8時になる。帰宅して母親を寝かせたあと、父親と弟の様子を見るために実家へも顔を出すという毎日だ。 夜中もしばしば母親に起こされる。しかも、斎藤さんの給料と両親のわずかな年金で、アパート代を含めて4人の生活を賄っているのだから、事態は一層深刻だ。斎藤さんが介護離職することになると、たちまち一家が困窮することは想像に難くない。 次のページ 施設は嫌。お母さんが何をされるかわからない 12次のページ 楽天 介護離職 関連記事 父は被害者なのに――老人ホーム、認知症の入居者とのトラブル【老いてゆく親と向き合う】母を置いて仕事に行くのは“虐待”? 仕事とダブルで追い詰められ……【老いてゆく親と向き合う】認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ【老いてゆく親と向き合う】「帰って来ないでくれ」鬱で苦しむ兄の言葉に、帰省をためらう妹の苦悩「男性ヘルパーはかわいがられてナンボ」おばあちゃんからの視線が重い介護士