元極妻が考える「殺人動画」問題――ネットで喜んで拡散するカタギさんのほうが怖い?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■元ヤクザ同士の殺人映像がネットに流出
5月26日のお昼でしたか、オットの元若い衆からLINEで連絡がありました。
「姐さん、すごい動画が出回ってます。ガチでスナッフです。見ます?」
なんだか無邪気な感じです。スナッフビデオって……殺人ですよね。正直見たくはなかったのですが、気にはなりました。
「何の?」
「被害者も加害者も元ヤクザで、名古屋で昨夜殺したようです。ツイッターでも出回ってます」
元ヤクザ……。そう言われたら、見ないとダメな気もしてきましたが、見てすぐに後悔しました。ガチでリアルな殺人現場でした。
加害者:おりゃあああああ!
被害者:聞いてください! 責任は取ります!
加害者:責任って? 何のだ?
被害者:全部です!
加害者:どりゃあああああああ
被害者:全部! 全部!
加害者:おりゃあああああああ
加害者は、被害者が飲んで帰るところを、凶器を用意して待ち伏せていたようです。シャベルみたいなものでボコボコと頭を叩いて、日本刀みたいな長い包丁で何度も刺していました。女性が片言っぽい日本語で「死んじゃう!」「やめて、お願い!」と叫んでいる声もします。ネットで「書き起こし」も出回っていましたが、ほぼこんな感じでした。加害者はその後、いったん現場から逃げたようですが、すぐに逮捕されていましたね。
その後の報道によると、被害者の頭や胸、腹、腕や脚にはたくさんの刺し傷や切り傷があり、頭蓋骨も折れていました。そりゃそうですよね。死因は出血性ショックでした。
東海テレビは、加害者が「服役中に妻の世話を頼んでおいたのに、世話をしてくれなかった」と動機を説明していると報じていました。被害者の言う「責任」とは、奥様に関することなのでしょうか。加害者は出所して間もないとの報道もありました。
組織のために懲役に行き、その間の家族の生活を心配するのは、ヤクザにはありがちです。「そんなに奥さんが心配なら、ヤクザにならなければいいのに」と言われてしまいそうですが、そう簡単な話ではありません。何度も書かせていただいていますが、たいていのヤクザは、選択肢がなくてヤクザになるしかなかったのです。なりたくてヤクザになっているのは、かなりの少数派ですよ。