原田龍二、ファンとの不倫スキャンダルに見る「有名人の妻」という窮屈すぎる立場
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「『原田、アウト』と言ってくださいました」原田龍二
(記者会見、5月31日)
食傷気味な感があるが、不倫ネタというのは、なくなりそうでなくならない。
6月2日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウン・松本人志が「不倫ネタを扱うのはやめよう」とスタッフに提案したことを明かし、それでも放送する理由について「ないと番組が締まらない」と発言していた。確かに不倫ネタが、取り上げやすいことは確かだろう。人命が失われたわけでもなく、今の日本には姦通罪がないので警察のお世話になるという話でもないわけだから、面白おかしく話せる格好のネタとなる。
最近で言えば、俳優・原田龍二の不倫を「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした。原田はSNSで知り合ったファンの女性を車でピックアップして郊外の公園に移動し、車中で行為に及んだという。その時間わずか10分。性欲の処理係的な扱いに女性が憤慨、女性が「文春」にリークする形で取材が始まったそうだ。
原田は釈明記者会見を開き全面的に謝罪したが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で「変態仮面」として出演した“実績”があるからだろうか、記者たちからは「性欲が強いのか?」とか「車内での性行為は好きか?」とおちょくっているとしか思えない質問もあった。謝罪という許しを請う立場だからか、言われたい放題になった気もするが、こうした「失礼な質問」が「あるコト」と組み合わさると、男性芸能人の贖罪を早めるのではないか。
「あるコト」とは、妻のユーモアある返し、である。
原田夫妻の場合、不倫がバレた際、妻は『ガキ使』にちなんで、「原田、アウト」と言ったそうだ。「アウト」という言葉は否定的なニュアンスを含んでいるが、絶対に許さないという激しい怒りは感じない。「何やっているんだか」という達観も含まれているように、私には感じられる。
不倫は夫婦の問題であるので、配偶者が許せばそれで終わる。妻がユーモアのある返しで不倫という失敗を“容認”すれば、外野は何も言う権利はない。しかし、こうした妻が「できた奥さん」と褒められると、夫の不倫を許せない妻が「できてない妻」のように扱われてしまう。
しかし同じ不倫された配偶者でも、男性の場合は違う。女優・藤吉久美子の不倫疑惑が持ち上がったとき、夫である俳優・太川陽介は不倫を否定する藤吉の言い分を聞き、「僕は信じる」と発言した。つまり、太川は「不倫はない」とする立場を取ったわけだから、許すも許さないもないのだ。
また、元モーニング娘。・後藤真希の不倫が発覚した場合、一般人である夫は、不倫相手に慰謝料請求の裁判を起こしている。これは夫としての権利を行使しているだけだが、太川・ゴマキ夫の判断に、「ユーモア」や「許し」のニュアンスはまったく含まれていない。