サイゾーウーマンコラム中学受験合格も「公立行きたい」 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 「僕、皆と一緒の公立に行きたい」中学受験で第1志望校合格も、息子の一言で大パニックに 2019/06/09 18:00 鳥居りんこ コラム中学受験 「あんなふざけた学校!」チャレンジ校入学の娘が不登校に もう一つ、3年前に起こった事例をご紹介しておこう。 華絵さんとさやかちゃん親子(両者とも仮名)は、二人三脚で中学受験を頑張り抜き、見事、第1志望校であるJ学院の合格を決めた。さらにうれしい誤算が出た。T学園という難関校にも合格したのだ。「ミラクル合格」とまでは言わないものの、塾の先生いわく「快挙!」とのことだった。 中学受験では、受験生の持ち偏差値帯の学校を受験するのが一般的だが、人によってはその幅を広く取ることも多く、本命校、チャレンジ校、抑え校というようなラインナップを組む場合もあるのだ。さやかちゃんもまさにそのケースで、チャレンジ校のT学園に合格した。当初は塾の先生も華絵さんもさやかちゃんも、もちろん父親も大喜びだったという。 そんな中、華絵さんは、当然「T学園に入学手続きするもの」と思い込んでいたが、さやかちゃんから「自分はJ学院が好きだな……」と言われたそうだ。しかし、華絵さんは世間体、進学実績などでJ学園を上回るT学園しか目に入らなくなり、問答無用でT学園への入学手続きを推し進めた。 さやかちゃんが不登校になったのはT学園入学後、半年もたたない2学期からだった。なんでもそのきっかけは、「同じ塾で最上位クラスにいた子がクラスメートになったこと」だったようだ。さやかちゃんは、 「きっとその子に『さやかはバカのくせに、なんでここにいるの?』と思われているに違いない」 と勝手に思い込んでしまったのだという。 クラスメートは一切、そんなことを思っていないのに、さやかちゃんは追い詰められていく。クラスメートが心配して、お手紙などを届けてくれるのも余計なプレッシャーになったようで、家から一歩も出られなくなったそうだ。 ある日、華絵さんとさやかちゃんの壮絶なバトルが繰り広げられた。昼夜逆転生活を送っていたさやかちゃんを、何とか元の生活に戻そうとして、華絵さんが強引に布団を引き剥がしたのがきっかけで、さやかちゃんは大暴れするようになったという。 その日を境に、華絵さんは「ママ」ではなく「オマエ」、父親は「パパ」ではなく「アイツ」という呼び名に変わった。そして、暴れながらさやかちゃんが叫んだ言葉に、華絵さんは愕然とする。 「オマエが勝手に決めやがって! 私はあんなふざけた学校になんか行きたくなかったんだよ! オマエの過ちを一生思い知らせてやる!!」 確かに、さやかちゃんが熱望していたJ学院は、今思っても、さやかちゃんの性格に合っていると思える学校なのだそうだ。今、さやかちゃんは、T学園の中3だが、復帰の目途は立っていない。 次のページ 子どもに意思があることを忘れてはいけない 前のページ123次のページ Yahoo 新品本/ノープロブレム答えのない子育て 鳥居りんこ/エッセイ 望月恭子/企画・編集・文 関連記事 第一志望校を横取りされる――! 中学受験生の母が語る、「娘の友達」への黒い感情と後悔中学受験の塾選びで失敗……「難関校請負」の大手塾で、なぜ娘は円形脱毛症になったのか?「日能研」ならぬ「父能研」の功罪! 東大父の家庭学習が、息子の中学受験をかき乱す!?共働き家庭に中学受験は無謀なのか? 管理職の母が、「辞職決意」の果てに気づいたこと中学受験における「小4の壁」とは……営業ウーマンの母が「悔しがらない息子」を変えた方法