「メチャカリ」「エアクロ」注目の洋服レンタルサービスが抱える“落とし穴”とは……?
では、「メチャカリ」にせよ、「エアークローゼット」にせよ、どうして有料会員数が増えにくく、黒字転換しにくいのでしょうか。それは、定額制洋服レンタルサービスという事業が意外にカネがかかるからなのです。
まず、洋服を送る運賃がかかります。また返ってきた服のクリーニングを含めた補修メンテナンス費用も必要です。さらに会員数が増えれば増えるほど、選んでもらう商品とその枚数を増やさねばなりませんから、手持ちの洋服の在庫は増え、倉庫も拡張し続けなくてはなりません。そうなるともちろん、場所代や倉庫内での人件費なども増えるため、資金繰りに大きな負担をかけることになります。「メチャカリ」も「エアークローゼット」も、まだ生みの苦しみの段階だということになるようです。
また、レンタルする顧客層も、通常のアパレルブランドがターゲットとするような「ファッションに興味のある層」ではなく、「ファッションに興味のない層」「自分で服を選ぶのが嫌・面倒くさい層」なのだそう。これは当初からそう想定されていたわけではなく、事業が始まってからわかってきたことで、前出の澤田部長が自らインタビューでそう答えていました。
同社の“本業”は、「アースミュージック&エコロジー」などのアパレル事業ですが、「メチャカリ」はファッションに興味のない層を掘り起こしているから、本業にとってもプラスになっている(本業の新たな顧客をつかんでいる)という考えのようです。確かにその通りとは思いつつも、そういう層が今後爆発的に定額制洋服レンタルサービスに大挙して押し寄せるかというと、私には疑問です。ファッションはおろか、レンタルサービスに対しても興味を示さないままではないかと思います。
海外も含めてレンタルサービスが、全て失敗に終わるとは思っていませんが、決して明るいブルーオーシャンではないと見ています。今後、どこかの時点で何社かが社会に定着し、さまざまある洋服ビジネスの一形態として落ち着くのではないかと思います。個人的には洋服レンタルサービスが大流行するという未来はまったく見えてきません。
(南充浩)