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小学校卒業式の「はかま」に賛否 ――“貧困層”と“子どもの意思”どちらを優先すべき!?

2019/05/26 18:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 卒業式ではかまを着用する風潮が生まれた理由はなんなのだろうか。大正大学人間学部教授で、子どもにかかわる消費ビジネスを研究する白土健氏は、メディアの影響を挙げ、「大ヒット漫画『ちはやふる』(講談社)がきっかけだと考えられます。具体的に、はかまの着用が増加し始めたのは13年~14年頃」と話す。

 『ちはやふる』は競技かるたに打ち込む高校生の青春を描いた漫画で、11年にテレビアニメ化、16年には女優・広瀬すずの主演で実写化されており、いずれも主人公らは、はかまを着用している。これらを見た児童が「かわいい! 真似したい」と飛びつき、はかまの着用が広まったと考えられるという。

 また、白土氏によると「少子化」が、児童を取り巻く経済活動の変化をもたらしているとのこと。

「両親2人、両祖父母4人の合計6人の財布を示す『6ポケット現象』という言葉があります。少子化の影響により、子ども一人当たりに投じる金額が増えているのです。『6ポケット現象』という言葉からも、ランドセル商戦やはかまの着用などの“お金がかかる”ことへの抵抗が薄れているのでは」

 さらに白土氏は、「小学生の娘が実際にはかまを着た」という知人がいるといい、「娘さんが『仲の良い○○ちゃんがはかまを着るから、私も着たい!』と言ったそうで、子ども主導で衣装を決めたとのこと。そのことに対して、保護者は止めるのではなく、むしろ七五三の延長のような感覚で晴れの日を楽しんでいたようです」という。

 「6ポケット現象」と子どもの成長を「祝う」気持ちが重なれば、はかまの着用率が増加したことは自然なことかもしれない。

 「6ポケット現象」という言葉が生まれた一方で、保護者の所得が低く、相対的貧困状態に陥っている児童も少なくないという現状もあるだろう。渥美市長は、貧困層と言われる児童への配慮として「はかまの着用」に苦言を呈しており、確かに周りの友達がはかまを着用しているのに、自分だけ着ていないという状況は、児童に“劣等感”を覚えさせるのは想像に難くない。

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