小学校卒業式の「はかま」に賛否 ――“貧困層”と“子どもの意思”どちらを優先すべき!?
公立小学校の卒業式で、女子児童を中心に「はかまの着用」が増えており、2017年頃からテレビやネット上で物議を醸している。テレビ番組では、「節目と言えるイベントに服装の自由を認める声がある一方、経済的な事情や着付けの手間を考慮して自粛を求める動きが出ている」などと報道された。
そんな中、東北を中心に発行している地方紙「河北新報」は2018年12月12日、「卒業式『華美過ぎる』東松島市長が小学生のはかま疑問視 服装で優劣が出ないよう」の記事を掲載。記事によると、宮城県東松島市の渥美巌市長は12月11日、市議会12月定例会の一般質問で、はかまや着物を着て卒業式に出席する女子児童が近年増えている現状に疑問を呈したという。17年度の卒業式における同市8校のはかま着用率は、ばらつきがあるものの、最も多い学校で約9割という高い結果となったとのこと。渥美市長の発言は、各家庭の経済格差を考慮したもので、「はかまを着られない少数の児童が劣等感を抱き、卒業式を心から喜べていないと危惧している。経済的な事情で着たくても着られない女の子の心情は果たしてどうなのか」という意図があったそうだ。
また、奈良県生駒市の教育委員会も、19年4月22日に行われた定例委員会で、保護者に向け自粛を求める通知を近く各学校を通じて出すことを決めた。はかまを着なれていない児童が、トイレを我慢し「体調不良」を起こすケースや、舞台上での転倒を危惧し「安全面」を考慮した結果だという。今回の決定に際して、市教委は「『禁止』まではしないが各家庭に配慮を求める。(来春の卒業式向けのレンタル予約などがすでに始まっているため)なるべく早く通知したい」とコメントしている。
Twitter上では「今の小学生はロングスカートやガウチョパンツを着こなしているし、そこまで転倒の心配をする必要はないのでは?」「晴れの日に正装を着ることは賛成」といった声がある一方で、「早朝に着付けをする手間やお金がかかりすぎる」という否定的な声まで、さまざまな意見が散見されたが、いまだ「はかま着用」の是非は問われている状況だ。