「ヴィーガンを強制しているわけではない」動物はごはんじゃないデモ行進の代表に真意を聞く!
「動物はごはんじゃない」――そんな言葉が、いまネットを中心に注目を浴びている。これは、「動物への非倫理的扱いをなくし、動物が動物らしくある権利と尊厳を守る活動を行う」NPO法人・アニマルライツセンターが、6月1日に東京・渋谷で行うデモ行進の名称であり、食肉の生活を送る人たちは、この言葉に大きな衝撃を受けるとともに反発心を見せているようだ。
動物由来のものを一切口にしない厳格なベジタリアン「ヴィーガン」の思想を押し付けられているように感じた人が多かったようで、「ヴィーガンになりたい人はなればいいが、なぜ強制するのか」「食べる食べないは自由」と怒りを滲ませながら疑問を投げかける声や、「肉を食べないなんて体に悪い」と健康面からヴィーガンに反対する声、はたまた「自分は一生肉を食べ続ける」といった宣言まで飛び出す事態に。
さらに、アニマルライツセンターをはじめ、動物の権利保護を訴える人たちが、「動物虐待」の写真を大々的に使って活動を行っていることに対し、「気分が悪くなる」「不快」「街の人たちに、配慮が足りないのではないか」と訴える者もいる。「動物虐待」の写真で、動物の権利と尊厳を守ろうと訴えることにより、逆に反感を買っているような印象もあるが、なぜこうした運動を続けるのか――今回、その意図を、アニマルライツセンターの代表理事・岡田千尋氏にお聞きした。
反発の声は「とてもよくわかります」
――「動物はごはんじゃないデモ行進」が話題を集めていますが、一部で「ヴィーガンになることを強制するな」などといった声が出ています。
岡田千尋氏(以下、岡田) 実はアニマルライツセンターは、ヴィーガンになることを強制しているわけではなく、同会の理事の中には、健康上の理由から「放牧の卵は食べる」という人もいます。また、以前理事だった方にも、「日本人には古来の日本食が一番合っている」という考えから、天然のお魚を少しだけいただき、しかし卵や乳製品、肉は、動物にとって残酷だから食べないという人がいました。一方で私は、一切動物性のものは口にしません。各自のライフスタイルがどうであれ、動物たちにとって少しでもいい環境を作りたい、犠牲を減らしていきたいという行動さえできれば、「私たちと同じ気持ちを持っている人」なのだと思っています。
――動物由来のものは一切口にしてはいけないという教えがあり、それを広める活動をしているのだと思っていました。
岡田 私たちは、日本の畜産の現状などを、なるべく国内にある農場内の写真を使い、「自分たちが動物に対してどういうことをしているのか」「自分たちはどういうものを食べているのか」を、深く知ってもらいたいと思って活動をしています。皆さん、ショックを受けると思うのですが、そこで自分のライフスタイルを「どう判断するか」は、その人自身。強制する権限はありません。ただ「知ってください」という思いなんです。
――運動に対する反発の声をどのように受け止めていますか。
岡田 普段、何の疑いもなく食べてきたものに対して、「現実はすごく残酷なんだよ」と言われると、自分たちの食生活を否定されたような気持ちになると思うので、「なんで今、そんなことを指摘されなきゃいけないの?」といった反発を招いてしまうことは、とてもよくわかります。ただ、そういった反応をきっかけとして、次のステップにつながることも多いのです。また1か10かだけでなく、動物たちの苦しみを減らすための、いろんな解決策を示しています。例えば「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に配慮した飼育への転換などです。私も昔は、何も知らないまま動物を食べていたのですが、現実を知ってとてもショックを受け、「どうして今まで知らせてくれなかったの?」と思い、動物を食べていたことを強く後悔しました。そういった気づきを人々に与えたいと思っています。