インタビュー【後編】

田中圭・斎藤工を見いだしたBL映画プロデューサーに聞く、次にブレークする俳優

2019/05/11 21:00
番田アミ
『広告会社、独身寮のおかずくん』(テレビ神奈川)公式サイトより

 『おっさんずラブ』『きのう何食べた』『窮鼠はチーズの夢を見る』……今、続々と“男性同士の恋愛”を描いた映像作品が生み出され、かつてない“BL旋風”が吹き荒れている。2006~11年に映画『タクミくんシリーズ』を大ヒットさせた、BL映像化のパイオニア・株式会社ビデオプランニングの三木和史氏は、昨今の状況をどう見ているのだろうか。後編では、三木氏がキャスティングの際に重要視していることなど、映画制作の裏話も飛び出した。

(前編はこちら)

田中圭、斎藤工をいち早く主演に抜てきしたワケ

――昨今、かつてないほど男性同士の恋愛をテーマにした作品が増えていますが、監督やキャスト、脚本家など、総合的に地上波の条件にマッチしないとドラマの企画が進まない状態は、今も昔も変わっていないのでしょうか。

三木和史氏(以下、三木) そうですね。だから、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)は本当によくやったと思います。このドラマがヒットしたことで、局上層部の人たちも「これが世間に受け入れられるのか」と、インプットしたはずです。でも『おっさんずラブ』だって、最初はキャスティングするのに苦労したはずですよ。結果的に田中圭さんが出演したことで、ヒットしましたけど。

――BL作品ではないですが、三木さんも田中さん主演映画『びったれ!!!』(15年)を作られていますよね。


三木 そうです。おかげさまで今、DVDが売れています。いや~、ありがたい(笑)!

――満面の笑みですね(笑)。そんな“未来の売れっ子”をいち早くキャスティングしていたところに、先見の明を感じます。

三木 いやいや、そんなものはなくて、キャストの起用基準はシンプルに「その作品に合うか、合わないか」だけです。映画『タクミくんシリーズ2「虹色の硝子」』(09年)の主演だった、浜尾京介くんもそう。あの時は約300人オーディションをして決め手に欠けていたところ、最後にやってきた浜尾くんが、原作イメージそのままの雰囲気を持っていて、彼に決めたんです。「売れてる俳優だから使おう」ということではなく、「原作の雰囲気を裏切らないキャスト」だったことが、ファンに刺さった要因の一つだと思っているので、やはり作品との相性は大切ですよね。

――斎藤工さんのことも、無名時代から起用されていますよね。

三木 映画『ユリシス』(06年)で初めて起用した当時、彼にはすでに大勢のファンがいました。それで、「彼で映画を作ったら儲かるんじゃないのか?」と思ったんです。その当時から、男前で色気があったことをよく覚えていますね。結果的に、『ユリシス』が予想以上に儲かって、制作側が「彼はいけるぞ! もう1本やろう!」となり、“同性に憧れる”という内容の青春映画『スキトモ』(07年)ほか、ビデオプランニングの作品に10本ほど出演してもらいました。


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