テレビが取り上げない「毎日ホストに通う女」の実態……シャンパンコールの裏にある光景
ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。
ホストクラブには、表面にあるキラキラした魅力のほかに、陰の部分がある。なんてことは世に出ているホストマンガ・ドラマで散々描かれている。「光り輝くホストより、女の闇は深い」とウシジマくんも言っていた。「光が強ければ闇もまた濃い」とは大文豪ゲーテの言葉だ。
新宿を歩けば、ひっきりなしにイケメンホストのトラックが走る。それを追いかけるように、「高収入! 高収入!」と歌うトラックが走る。それもまた、光と闇と言えるだろうか。
今回、私が書くエピソードが果たしてホストクラブの「闇」なのか、それは受け取り方次第である。しかし、今回は一般的なイメージに則って、キラキラした店内や、シャンパンコールを「光」だと仮定する。そして、その反対側の「闇」について話したい。最終的に、それが本当に「闇」なのかは、このテキストを読んだ後に、読者一人ひとりに判断してもらいたい。願わくば、そのガイドになれるといい。
ということで、私が実際に経験したエピソードより話を始めようと思う。数年前――簡単にいえば、私がホストクラブに毎日通い始めた頃のことだ。ある一つの光景に驚いたことがある。端っこのテーブルにいた女の子が、担当ホストではなくヘルプとずっとゲームをしていたのだ。テーブルの上にはコーラ。お酒は置かれていない。
担当ホストはたまに現れ、スマホを触りながら女の子と少し話し、去っていく。関係性を知らない第三者から見れば、選挙期間中に繁華街で手当たりしだい有権者と握手をするおじさん候補者よりはるかに、適当な対応のように見える。選挙なら落ちてる。間違いなく。
実際ホストクラブに通うまで、そこはお金を払ってイケメンとキラキラしたひと時を過ごす――まるで、夢を買うような場所だと思っていた。テレビやマンガで出てくるホストクラブは、なんかまあ、そういう感じだったのだ。だから、初めて見たときは「想像していたホストクラブと違う」と驚いて、その光景をじっと観察してしまった。
しかも、行く日も来る日もホストクラブへ通う内に、そんな女の子は一人二人ではなく、相当数いるということがわかってきた。たとえるなら、教室の隅っこのようなシーンがずらりと並んでいるとでもいえばいいだろうか。いずれにせよ、率直に、すごい絵面である。
「シャンパンコールでワイワイ」というイメージをホストに抱いている人たちには、もしかしたら、その事実は想像しづらいかもしれない。その空間に実際に足を踏み入れなければ、きっとピンと来ない。はずだ。
しつこく、比喩を用いて説明を試みる。そうだな…………祭りの中心と教室の隅っこが奇妙に同居する空間。それがホストクラブである。とでも言おうか。どうだろうか? 余計にわからなくなった気がしないでもないが、とにもかくにも、「ホストクラブ」というだんじりの上では、さまざまな人種のサラダボウルが展開されているのだ。男も女も。究極の多様性である。ギャグだと思うかもしれないが、なかば本気で言っている。