カルチャー
『副業愛人』著者インタビュー・後編

「手コキでサクッと5万円」「キャバクラより安い」パパ活は男女ともに“コスパ”がいい関係性?

2019/04/28 14:00
千葉こころ

――パパ活は個人で行うものだけに、性病感染や危険な目に遭うリスクも高いのではないでしょうか?

中山 性病の検査はしていない子がほとんどではないでしょうか。風俗などなら、勤め先で性病の検査をしてくれるところもあるし、危険な目に遭いそうになっても助けを求められるけれど、パパ活女子は個人なので危険性は常に隣り合わせですね。実際、男性の家に着いて行ったら部屋の中にもう一人男性がいたとか、ご主人様とSMプレイをしていてケガをしたとか、そういった話もよく耳にします。しかも、警察に行くと、売春で補導されたり親にバレたりするリスクがあるので、相談もしづらいんです。

――日々の営業や、危険性から考えても、風俗よりも大変そうですね。

中山 大変だと思いますよ。それで生計を立てるとなると、なおさら。相手も自分で探さなきゃいけないし、営業して、つなぎとめておこうにもネタも尽きてくるでしょうしね。あと、アプリで知り合った相手だとドタキャンやすっぽかし率も高いので、交通費と時間の無駄になることも多く、そんなことが続くと割に合わなくなってくるし、疲れちゃうんですよ。だから、パパ活ができる年齢は何歳まで……といったことではなく、本人が続けたいかどうか次第で、何年もパパ活だけで稼いでいる女性は非常にレアケースです。パパ活は愛人よりハードルが下がっていますが、そのぶん、うまくやり続けるには手腕が必要なんですよ。そんな感じだから、やったりやらなかったり、副業くらいがちょうどいいってなっているのではないかと思います。

――現在パパ活をしている女性に向けて、中山さんから注意喚起などがあれば教えてください。

中山 実際のところ、注意喚起はあまりないんです。危険だと思うことはありますが、当人がそれを選んだことには、それなりの理由があるのでしょうから。否定はできないなって。パパ活がらみの殺人事件のニュースを見ると、うーんって思うけど、目先の生活を守ることって大切じゃないですか。すごく“刹那的”なんですけど、日々生きていくことというか、そこを守りたい気持ちはよくわかるので、それで痛い目に遭っても自業自得とは思えないですね。殺人は被害者の女性ではなく、殺す人が悪いんです。

 ただ、リスクがあるということを天秤にかけた上で踏み切るんだから、痛い目に遭った時に、誰のせいにもできないということは、頭の片隅くらいに入れておいた方がいいと思います。誰かのせいにすると、お金に困ったら誰かに頼るような生活を続けたり、承認欲求が低いままで人として成長できないと思うので。

中山美里(なかやま・みさと)
1977年、東京都生まれ。フリーライター。編集プロダクション株式会社オフィスキング取締役。『16歳だった~私の援助交際記』(幻冬舎文庫)『漂流遊女~路地裏の風俗に生きた11人の女たち~』(ミリオン出版)『高齢者風俗嬢~女はいくつまで性を売れるか』(洋泉社)などがある。

最終更新:2019/04/28 14:00
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