ディズニー裁判で「私も」の声続々……パワハラ解雇も発覚で「暴走する現場」浮き彫りに
3月19日には、また別のディズニー裁判が明るみに。元ダンサー(出演者)の大川英典氏(51歳)がオリエンタルランドの安全配慮義務違反を問う裁判を起こし、同社は請求棄却を求め、争う姿勢を見せている。
大川氏は1995年6月から、「パレードで大きな旗を持ちながら踊る」といった労働を続けたことでひざや腰を痛め、96年9月に退職。その後、「ジャンパーひざ(ジャンプ動作などの繰り返しによって発生する、膝蓋靭帯炎および大腿四頭筋腱付着部炎)」や「反射性交感神経性ジストロフィー(神経因性疼痛)」と診断され、2005年に船橋労働基準監督署から労災認定を受けたという。現在も治療は続き、杖を使っての歩行を余儀なくされているそうだ。大川氏は記者会見で、会社側から出演中のケガは、労災ではなく民間の保険で治療することを指導されたほか、上司に痛みを訴えても叱責されたことも明かしている。
SNS上で、「私も」を意味する「#MeToo」というハッシュタグを用い、セクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験を告白・共有する運動を「#MeToo運動」というが、オリエンタルランドのキャストの間でもパワーハラスメントや過重労働に関して「私も」と声を上げる動きが広がりつつある。 鴨氏いわく、Cさんのほかにもオリエンタルランドとの団体交渉を控えている人がいるという。AさんとBさんが、勇気を振り絞って訴訟に踏み切ったことは想像に難くないが、その思いは確実に“誰か”に伝わっているはずだ。
次回の裁判は「オリエンタルランドの希望で非公開」
次回の裁判は6月4日16時と決まったが、「非公開」で行われるという。鴨氏は「私たちは多くの人に知っていただきたいが、オリエンタルランドは非公開を強く求め、裁判所も非公開と判断を下しました」という。
一般的に、こうした裁判の進行はとても遅く、大手企業はそれでいいとしても、労働者側は「生活に困る」といった現実的な問題に直面し、戦意喪失につながるなど、不利になるケースもある。非公開とするならば進行が早まることを願う。
原告たちの目的はオリエンタルランドを攻撃することではなく「本当の夢の国にしたい」、そして働き続けたいということである。ディズニーが好きだから働いてきたというAさん、Bさん、Cさんが、3人とも職場復帰を果たし、働き続けられることを切に祈る。
(中島恵)