横浜のラーメン店で抗争が起こったワケ――元極妻が考える山口組二次団体幹部殺害事件
2011年の暴排条例の全国施行、15年の山口組分裂、17年の再分裂などを背景に、ヤクザ間のトラブルが続いているのはご存じと思います。ただ、ほとんどが六代目山口組と神戸山口組、神戸山口組と任侠山口組など、内部的な事件なんですね。他組織間はもちろん、山口組関係者の事件も大規模な抗争に発展しないのは、重罰化と併せて最高幹部の責任が重くなっているという事情があります。まったく今どきは何でもかんでも「教唆」とか「使用者責任」ですからね。
でも、私もムリして長い懲役に行くことはないと思いますし、街中で抗争が起こるのは問題ですし、抗争はないほうがいいと思います。時代が違いますから、長い懲役で、いいことは何もないんです。裁判費用も組はなかなか出せないし、そもそも出所しても組が存続しているかどうかわかりませんからね。
そういうこともあって、ずっと自粛ムードが続いている中で起こった今回の件は、ネット界隈を中心に「シマを侵略してきた山口組に稲川会が『ノー』を突き付けた」と評価する声も出ています。そうなると、これからが心配です。
「やっぱり俠(おとこ)は行動してこそ俠」となっちゃうと、どうなるのでしょうか。「これまで抑えられていたエネルギーが暴発する……」というのは週刊誌の読みすぎだと思いたいです。でも、それもこれもヤクザを追い詰めた結果ではないでしょうか。暴排条例で正業を奪われて生活できなければ、オレオレ詐欺だって強盗だってやりますよね。
作家の宮崎学さんは「かつてヤクザがここまで追い詰められた時代はなかった」とおっしゃっていましたが、追い詰められれば「せめて俠になって長期刑を務めよう」と思うのは、いいことではないですが、仕方ないかもしれません。「去るも地獄、残るも地獄」のヤクザ社会で、これから何が起こっていくのか……。元極妻としては「心配」しかないのです。