バイトテロを起こす若者は「自分に自信がない」……臨床心理士が“悪ノリ”する理由を斬る!!
一方で、こうしたバイトテロが「若気の至り」と言われる点を、岡村氏はどのように感じているのだろうか。
「学生ゆえに、そのバイトに生活がかかっているわけではなく、かつ責任がないので、ああいった動画を投稿してしまう部分はあると思います。また、最近の若者はマニュアル化に慣れてしまい、細かいところまで指示されないと動けないと言われますが、自ら考える訓練をしておらず、『この動画をアップしたらどうなるか』が想像できない面はあるかもしれません。やはり、生活のために会社に勤めるということになれば責任も生じますし、自分で考えて動かなければいけなくなりますから、『年を重ねることで改心する』ことはあるでしょう。また、仕事に価値を抱くようになることで、変わる可能性もあります」
しかし一方で、バイトテロを起こすような“未熟さ”から脱せない人もいるという。
「先のことを考えられない人、他人の気持ちを考えられない人、自己愛が強い人は年齢問わずいますが、何らかのペナルティを受ければ、バイトテロのような“行動”を起こすことはなくなるでしょう。しかし、心の中ではまったく反省しておらず、それでも社会に適応していくために“表と裏の顔”を持つようになることはあると思います」
社会に出て働くようになっても、悪ふざけを我慢できないという人は、「過激なYouTuberになるしかないかも(笑)」と、岡村氏は言う。では、企業側は、バイトテロを起こす従業員を生まないために、何らかの対策を講じられないだろうか。
「『このバイトは自分の経験になる』と思っている人は、バイトテロを起こさないと思います。バイトやお店に価値を抱いていない、学ぶこともメリットも何もないと思うからこそ、やってしまうのではないでしょうか。お店側は、バイトにマニュアルを渡すだけではなく、お店に“関わらせる”ことが必要。『どうすればお客さんが喜ぶか』『○○なお客さんにはどう対応すべきか』、また『どうやって掃除をすればいいか』でもいいと思うのですが、バイトに意見を求めて、情報共有する。そういった仕組みがあれば、バイトテロを防ぐことにつながるのではないでしょうか」
そのほかにも「バイトの面接に来た人物に、『バイトテロについてどう思うか?』を聞くのも、バイトテロ防止の一助になるかもしれません。その問いに対し、どんな反応を示すのか、どんな表現で回答するのかなどを、見て判断することもできますし、また店側がバイトテロに気をつけていることを喚起させる意味もあります」と岡村氏。
確かにバイトテロが起こるのは、大手のチェーン店が多く、仕事内容が細部に至るまでマニュアル化されている可能性はあるだろう。現時点で、バイトテロとマニュアル化の因果関係が「ある」とは断言できないものの、社会問題化するバイトテロ発生の仕組みを解明する一助になるかもしれない。