天気が悪い日に不調なら「低気圧女子」? 痛みの原因と対策を健康気象アドバイザーに聞く
気象病にかかるのは圧倒的に女性が多いといいますが、その理由は何なのでしょうか?
「女性には生理がありますよね。その関係で女性の体は、交感神経が働きやすい黄体期と、副交感神経が働きやすい卵胞期を、2週間ごとに繰り返しています。生理周期の影響で自律神経のバランスが乱れている上、気温や気圧がさらに悪影響を及ぼすため、女性は気象病の症状が出やすいのです。また、女性は40歳を過ぎると、副交感神経の働きが低下します。年々慢性痛がひどくなるのも、このせいだと考えられます」
低気圧女子には、天気が悪い日は痛み止めが必須という人も多いといいます。とはいえ、ゲリラ豪雨など急に天気が変化してしまう時には、薬を持っていない場合もあるでしょう。薬以外に症状を改善する方法はあるのでしょうか?
「薬以外の治療法では、根本的に低気圧の影響を受けにくい体にしていくこと、つまり自律神経を整えることが最も有効な改善法です」
小越さんは、「自律神経を整えるための第一歩は、天気に合わせた生活スタイルを心がけること」と話します。
「お天気が悪い日は副交感神経が働きやすいので、早起きして念入りにメイクをしたり、朝食に好物を作ってみたり、早歩きで駅へ向かってみたり、電車では立ってみたり、交感神経が刺激されるようにするといいでしょう」
こういった切り替えのスイッチがあるだけで、自然とアクティブモードになっていくというわけです。
「とはいえ、生活すべてを変える必要はありません。ラクになるために無理をしても、本末転倒ですからね。オススメは、明るい色の服を着ることです。オレンジや赤などの暖色は、見るだけで交感神経を優位にしてくれます。天気予報を活用して、要注意な日に向けた服のローテーションや、仕事のスケジュールを組んで、天気とうまく付き合い、低気圧女子を卒業しましょう」
こうした対策を立てるためにも、どういう天気で、自分がどういう調子の時、どういう症状が出るのかを、体調がすぐれないと感じた日だけでも記録をしていくと、徐々に傾向がわかるようになるといいます。
「たとえば、『朝から雨、生理1日目、頭痛がした』というように、簡単にでも記録をつけていけば、雨の予報が出ていて、かつ生理と重なりそうな日は、自分の体調が悪くなることが予想できるので、あらじめ対策を立てることができます。天気予報は1週間先まで出ますから、体調を想定したスケジューリングも可能というわけです」
低気圧女子の敵は気象現象ですから、抵抗しようがなさそうにも思えるかもしれません。しかし、明日の天気と、自分の傾向さえわかれば、対策が可能なのです。自分も低気圧女子だと感じた人は、今すぐ天気予報を確認し、クローゼットの中をチェックしてみるとよいですね。
(ますだポム子/清談社)
小越久美(おこし・くみ)
1978年、岐阜県生まれ。気象予報士、健康気象アドバイザー。多くの低気圧女子から相談を受け、悩みを解決したいという思いから『低気圧女子の処方せん』(監修:小林弘幸)(セブン&アイ出版)を上梓。現在は、一般財団法人日本気象協会に所属している。