【特集:子宮筋腫になったら?】

体内に「508個」「7.5キロ」の筋腫が!? 3人に1人「子宮筋腫」の実際を医師に聞く

2019/01/07 21:28
子安保喜医師

 40代女性の3~4人に1人は持っている「子宮筋腫」。筆者も10センチの子宮筋腫があり、これは「赤ちゃんの頭」とほぼ同じサイズになる。子宮筋腫は症状により処置が必要なケースもあるが「下腹が出ている」程度ではなかなか手術に踏み切れない人も多いだろう。子宮筋腫の悩ましさはこの「命に別状はない」という点にある。しかし一方で、月経痛が重くなったり、頻尿で苦労したり、不妊の要因につながることもあるとされる。

 治療には経過観察、薬物、手術が選択肢にあるというが、薬物では「更年期障害と似た症状が出ることがある」「投薬をやめると子宮筋腫が再発する」といったデメリットが挙げられる。そこで今回は、手術に注目。なかでも、「子宮を残す(筋腫だけを取る)」術式について、1)社会復帰の早さ 2)対応医院の多さの観点から、「腹腔鏡手術」と「子宮動脈塞栓術(UAE)」の2つの術式について取材を行う。

 初回の今回は、婦人科内視鏡手術、約8,000件の実績を持つ四谷メディカルキューブ・子安保喜医師に話を伺った。

閉経すると子宮筋腫は小さくなるが、そのスピードは「人それぞれ」

――子宮筋腫は、そもそもなぜ発生するのでしょうか?

子安保喜医師(以下、子安) 残念ながら発生原因はわかっていません。唯一わかっているのは、エストロゲン(女性ホルモンの一種、卵胞ホルモン)が子宮筋腫の成長に関わっているという点です。エストロゲンは性成熟期になると必ず出ますから、子宮筋腫のある高校生もいますよ。逆に言えば更年期に入り、エストロゲンの分泌量が下がってくると子宮筋腫は大きくなりません。そして、閉経すると徐々に小さくなっていきます。


――子宮筋腫があっても「治療をせず閉経し、小さくなるのを待つ」という人は少なくないですよね。

子安 はい。ただ小さくなるスピードは人によって異なるんです。かなり大きい子宮筋腫でも、数年でぐっと小さくなる人もいますが、なかなか小さくならない人もいます。ただ、おばあちゃんになると、もう本当にわからないくらい小さくなりますね。そもそも、子宮本体も小さくなりますから。

――子宮筋腫に「遺伝」は関係あるのでしょうか?

子安 傾向はありますが、そもそも子宮筋腫は女性の3~4人に1人が持っています。ですから正直数が莫大すぎて、それは家系起因なのか、という点はありますね。

――四谷メディカルキューブで子宮筋腫の手術を受ける方の年代について教えてください。


子安 30代後半~40代の方が多いです。40代後半以上の方ですと閉経まで手術をせず逃げる、という選択肢もありますが、とても大きい筋腫で、小さくなるには10年20年かかるという場合は手術を検討することもあります。そもそも、子宮筋腫は何個もできていても、大きくても、日常生活に支障がなければ手術をする必要はありません。

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