天気が悪い日に不調なら「低気圧女子」? 痛みの原因と対策を健康気象アドバイザーに聞く
低気圧が近づくと、頭痛やめまいなどが起こり、心も体も調子が悪くなる……という経験はありませんか? 天候の変化が引き起こしてしまう心身のさまざまな症状は「気象病」と呼ばれ、特に女性は「低気圧女子」という言葉も生まれるほど、低気圧の接近による体調不良に悩まされている人が多いといいます。なぜ気温や気圧の変化が心身に影響を及ぼすのか、そして気象病の改善方法などを、『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)の著者で健康気象アドバイザーの小越久美さんにお聞きしました。
■自律神経の乱れが「低気圧女子」を生む!
気圧や気温の変化で体調を崩してしまうのは、なぜなのでしょうか?
「私たちの体は、気温に関係なく、体温を一定に保とうとしています。また、気圧の変化にも体の内側から対応しているのですが、こうした働きを担っている『自律神経』が、低気圧の接近や気温の変化に追いつかないと、さまざまな不調が現れてしまうのです。自律神経には、『交感神経』と『副交感神経』の2種類があり、2つの神経が1:1で働いている状態が健常ですが、多くの人は生活習慣や日々のストレスで自律神経のバランスがそもそも乱れています。その上、気温や気圧の変化によってもこの比率が乱されることで、気象病の症状が出てしまうのです」
交感神経は体を温め、アクティブモードにする神経で、副交感神経は反対に体温を下げ、リラックスモードにするという特徴を持っています。つまり、どんよりとした天気の日などに、だるかったり眠かったりするのは、副交感神経の方が優位に働いて、体がリラックスモードになるからなのだそうです。
「一方で、急な気温の低下や、気圧が急変することを、“内耳“という耳の奥の器官がキャッチすると、一時的に交感神経が興奮状態になり、頭痛、関節痛、古傷の痛み、首や肩のコリなどの症状を引き起こします。“内耳”が気圧の変化をキャッチして痛みを招くことは、気象病研究者の佐藤純先生の研究で明らかになりました。ほかにも自律神経の乱れは、めまいや耳鳴り、アレルギー症状の悪化、全身のむくみ、便秘など、さまざまな症状を引き起こします」
気象病とは天候の変化によって現れたり、悪化したりする、さまざまな病気の総称なのです。雨が降ると立っていられないほど頭が痛い、曇りの日は1日中やる気が起きない、こういった経験に心当たりがあれば、あなたも「低気圧女子」かもしれません。