容姿や年齢より「使った金額」! ホス狂いたちが繰り広げる、担当ホストのエースをめぐる闘争
余談ではあるが、店側もそういったホス狂いの心理を熟知していて、1日の営業終わり間際に、その日の売り上げナンバーワンのホストが歌を歌う「ラストソング」という制度を導入している。冷静に考えなくても謎の奇習であるが、「ラストソングを、私の横で歌ってほしい」というホス狂いたちの気持ちに火をつけ、レースを盛り上げるのだ。ちなみに、歌舞伎町のホストクラブで一番多く歌われている曲はKinKi Kidsの「愛のかたまり」だという。
少し話がそれたが、要するにホス狂いの世界で自分がどの位置にいるかということを確認するためには、嫌いな被り客のことも注視しなければならないのだ。楽しみたくてホストに行っているのに、なんとも皮肉な話である。
「私たち、こういう関係じゃなかったら友達になれたかもね」
これは先ほどのモエが、バーでたまたま一緒になった被り客のお姉さんに実際に言われた台詞だ。まるで戦場のような価値観である。
まぁ、雲の上にある見えないゴールに向かって1人で走り続けるのはつらいから、ときにはライバルも必要なのかもしれない。願わくば、ゴールには担当ホストが立っていてほしいものである。
せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
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【バックナンバー】
第1回:歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔
第2回:担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段