東京オリンピックでヤクザが自粛!? 元極妻が考える、過去の「イベント休戦」
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■五輪に向けて、銃器使用を自重
関東の主なヤクザ組織が加盟する団体が、関係者にファクスで「五輪に向けて、銃器使用の自重を改めて要請」するとした通達を出していたと報道されましたね。
報道によりますと、通達の内容は「発砲事件が相次いでいる」ことから、銃器使用の「自重」を求めていて、警視庁は「2020年東京五輪・パラリンピックを控え、暴力団側が警察の摘発強化を警戒していることの表れとみている」そうです。
たしかに最近は、関東だけでも昨年暮れに東京・歌舞伎町の雑居ビルのドアに弾痕が見つかったり、1月には川崎と歌舞伎町で銃撃事件が起こったりしていますから、捜査の目も厳しいのでしょう。それにしても、まだかなりの数の銃器が国内にあるんですね。
■あの山一抗争時でも休戦が
「ヤクザも自粛するんですか……」と編集者さんが驚いていましたが、実は以前から大きなイベントの時にヤクザが「自粛」することはありました。
思い出すのは、山一抗争の時の1985年の「ユニバ休戦」ですね。この年8月の「ユニバーシアード神戸大会」を前に休戦が宣言されて、当時はけっこう話題になりました。元神戸市長の弁護士さんが仲介したといわれています。
山一抗争は、竹中正久組長の四代目山口組組長襲名に反対した山本広組長代行が84年6月に離脱して「一和会」を結成したところから始まっています。抗争終結までの5年間で大小317件の抗争が発生していて、山口組側は死者10人、負傷者17人、一和会側は死者19人、負傷者49人、逮捕者は合計で560人に及んだそうです。街中での銃撃が中心ですから、警察官や民間人もケガをしています(数字は、飯干晃一著『ネオ山口組の野望』<角川書店>より)。こんな状況なのに「ユニバの時は休戦」という通達を出して、実際に2カ月も休戦したんですね。
このほか2015年8月末に六代目山口組から神戸山口組が分裂した翌16年の「伊勢志摩サミット」に際しても、休戦の通達が出ています。警察の捜査もありますが、国を挙げてのイベントには協力しようと思える空気があるのかもしれません。